セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-3:

閉塞性黄疸で発症した自己免疫性膵炎の一典型例

演者 松下 萌未(兵庫県立西宮病院)
共同演者 柳川 和範(兵庫県立西宮病院), 檀 直樹(兵庫県立西宮病院), 安田 華世(兵庫県立西宮病院), 青井 健司(兵庫県立西宮病院), 斎田 美希(兵庫県立西宮病院), 松浦 倫子(大阪府立成人病センター 消化器内科), 池添 世里子(兵庫県立西宮病院), 森田 香織(兵庫県立西宮病院), 増田 江利子(兵庫県立西宮病院), 福島 寿一(兵庫県立西宮病院), 松本 仁(兵庫県立西宮病院), 楢原 啓之(兵庫県立西宮病院), 安永 祐一(兵庫県立西宮病院), 乾 由明(兵庫県立西宮病院), 河田 純男(兵庫県立西宮病院)
抄録 【症例】76歳女性【主訴】黄疸・肝機能異常【既往歴】特記事項なし【現病歴】2011年9月倦怠感を主訴に近医を受診。黄疸・肝機能異常を指摘され当院紹介となった。血液検査ではT-Bil 5.1 IU/L、AST 452 IU/L、ALT 773 IU/L、AMY 295 IU/L、IgG 3424mg/dl、IgG4 833mg/dlと高値を呈した。USにて膵臓はソーセージ様のびまん性腫大を呈し、総胆管の拡張を伴っていた。主膵管の拡張は認めなかった。造影CTでは腫大した膵臓がcapsule-like rimを呈し、遅延性造影パターンを呈した。MRCPの所見も自己免疫性膵炎に伴う閉塞性黄疸に矛盾しない所見であった。ERCPを施行したところ、主膵管は全体にわたりびまん性の不整狭細像を呈し、胆管にtube stentを留置して終了した。上記より、本症例は自己免疫性膵炎臨床診断基準2011を満たし、びまん型自己免疫性膵炎の確定診断を得た。プレドニゾロンを40mg/dayより導入したところ、IgG、IgG4は速やかに低下傾向を示した。1年後の現在、無症状で膵腫大は消失している。stent自然脱落後も肝機能・AMYともに正常であることから、IgG4は189mg/dlと正常化を得ていないものの、プレドニゾロンは10mgでの少量維持投与を行っている。【結語】IgG4関連疾患は頻度こそ少ないものの重要な疾患概念である。近年その病態の解明が飛躍的になされ、自己免疫性膵炎についての診断基準が確立された。しかし、長期予後やフォローアップの指標は、未だ確立されていない。今回我々は、IgG4に関連する自己免疫性膵炎の典型例を経験したので報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4