セッション情報 シンポジウム1「消化器診療におけるイノベーション」

タイトル S1-2:

光吸収剤とCO2レーザーを用いた新しいESD技術の開発

演者 小畑 大輔(神戸大学大学院 内科学講座 消化器内科学分野)
共同演者 久津見 弘(神戸大学大学院 内科学講座 消化器内科学分野), 東 健(神戸大学大学院 内科学講座 消化器内科学分野)
抄録 【背景】近年、早期消化管癌の内視鏡治療はESDの登場により大きな変貌をを遂げ、国内のみならず海外でも大きな注目を浴びている。しかしながら、従来法であるEMRに比べて手技の難易度が高く、合併症の頻度も高いとされている。より簡便で、より安全なESDの開発が望まれている。そこで、我々はESDに用いられる粘膜下注入剤の光吸収特性に注目し、これを光吸収剤として用いレーザーと組み合わせることで、より安全でより簡便な新規ESD技術の開発をおこなっているので報告する。【目的】光吸収剤とレーザーを用いたESDが安全かつ簡便に施行できるか検討を行う。【方法】波長10.6μmの歯科用CO2レーザーと、ESDの際に一般的に用いられているヒアルロン酸ナトリウム(ムコアップ)および生理食塩水を光吸収剤として用いて切除ブタ胃と生体ブタを用いて実験を行った。1) ブタの切除胃を用いて、光吸収剤の粘膜下注入した群としていない群にわけてCO2レーザーを照射し、組織障害性を評価した。2) 実験1で得られた結果をもとにCO2レーザーの出力を設定し、生体ブタ食道・胃の仮想病変に対してESDを施行した。切除後、切除された仮想病変切片および仮想病変の存在した部位をHE染色して組織学的に評価行った。【結果】1)光吸収剤なしの群では6W の出力で筋層に損傷がみられた。一方、光吸収剤を用いた群では12Wまで出力をあげても、切開は粘膜下層にとどまり筋層への損傷が見られなかった。2)光吸収剤を用いることで、粘膜切開、粘膜下層剥離ともに筋層への傷害なしに、安全にESDが施行可能であった。【考察】光吸収剤を用いたCO2レーザーによるESDはより安全でより簡便な内視鏡治療技術となる可能性が示唆された。
索引用語 ESD, レーザー