セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 45:Toxic megacolonを呈し外科手術を要した偽膜性腸炎の1例 |
演者 | 元地 奈弓(兵庫県立淡路病院 内科) |
共同演者 | 藤垣 誠治(兵庫県立淡路病院 内科), 正木 幸作(兵庫県立淡路病院 内科), 荒木 康宏(兵庫県立淡路病院 内科), 加藤 隆夫(兵庫県立淡路病院 内科), 西 勝久(兵庫県立淡路病院 内科), 吉岡 勇気(兵庫県立淡路病院 外科), 大石 達郎(兵庫県立淡路病院 外科), 小山 隆司(兵庫県立淡路病院 外科), 坂下 直美(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 人体病理学分野) |
抄録 | Toxic megacolonを呈し外科手術を要した偽膜性腸炎の1例【症例】50代、女性。既往歴は特記事項なし。左下腹部痛と下血を主訴に来院した。CT検査では下行結腸と横行結腸に腸管の浮腫性変化を認め感染性腸炎や虚血性腸炎疑いにて入院となった。入院後は絶食と抗生剤投与(CMZ2g/日)にて経過観察していたが、第5病日に腹部全体に広がる腹痛を認めた。CT検査では下行結腸の便塊と、それより口側の横行結腸から回腸まで続く腸管拡張と浮腫状壁肥厚より便塊による機械性イレウスと考えた。第6病日に減圧を兼ねて施行した大腸内視鏡検査では、下行結腸に虚血性腸炎を示唆する粘膜発赤と、横行結腸から盲腸まで続く白苔の付着を認めた。その後も患者の腹痛は治まらず、Toxic megacolonと診断し第7病日未明に当院外科にて減圧目的に小腸瘻造設術を施行した。Toxic megacolonの原因検索として大腸内視鏡検査時に採取した大腸洗浄液ではCD(Clostridium difficile)toxin陽性であった。偽膜性腸炎が原因と判明しMetoronidazole 1500mg/日・VCM 2 g/日をそれぞれ胃管チューブと小腸瘻から投与した。全身状態の改善なく敗血症ショック、abdominal compartment syndrome状態となり大腸亜全摘となった。今回経験した偽膜性腸炎ではC.difficile はtoxinAとtoxinBの両方を産生していたが、劇症型で産生するvinary toxinは陰性であった。【考察】通常偽膜性腸炎は抗菌薬投与により腸内の正常細菌叢が乱れC.difficileの過剰増殖で発症する。本症例では下行結腸の虚血性腸炎により一時的に腸蠕動が低下し便秘の状態となり、C.difficile産生毒素が排泄されないことによりToxic megacolonの状態になった可能性が考えられた。示唆に富む症例と考え若干の文献的考察を含め報告する。 |
索引用語 | Toxic megacolon, 偽膜性腸炎 |