セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-8:

重症急性膵炎を契機に発見された膵管内腫瘍の1例

演者 山本 梨津子(神戸大学 医学部 消化器内科)
共同演者 塩見 英之(神戸大学 医学部 消化器内科), 竹中 春香(神戸大学 医学部 消化器内科), 江崎 健(神戸大学 医学部 消化器内科), 荻巣 恭平(神戸大学 医学部 消化器内科), 酒井 新(神戸大学 医学部 消化器内科), 角山 沙織(神戸大学 医学部 消化器内科), 松木 信之(神戸大学 医学部 消化器内科), 竹中 完(神戸大学 医学部 消化器内科), 増田 充弘(神戸大学 医学部 消化器内科), 有坂 好史(神戸大学 医学部 消化器内科), 久津見 弘(神戸大学 医学部 消化器内科), 早雲 孝信(神戸大学 医学部 消化器内科), 東 健(神戸大学 医学部 消化器内科), 後藤 直大(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 松本 逸平(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 原 重雄(神戸大学 医学部 病理診断科), 酒井 康裕(神戸大学 医学部 病理診断科)
抄録 症例は40歳代、男性、飲酒歴なし。平成23年12月、強い腹痛を自覚し他院救急受診、造影CTではgrade 3の重症急性膵炎と診断され、ICU管理の下、集中加療をされた。その後、全身状態は改善したがCT所見でwalled-off pancreatic necrosis(WOPN)を認め、徐々に増大傾向であったため加療目的で当科紹介入院となった。入院後、内視鏡的ネクロゼクトミーを計4回施行し、WOPNはほぼ消失した。膵炎の原因精査のためCT、MRCPを施行したところ明らかな異常所見は指摘できなかったが、造影EUSにて膵頭部主膵管内に造影効果を有する8mm程度の乳頭状腫瘤を認めた。ERCPでは十二指腸乳頭には異常を認めず、頭部主膵管内に10mm大の乳頭状の透亮像を認めた。膵管内には明らかな粘液は認めなかった。膵管IDUSでは透亮像に一致して低エコーと高エコーが混在する腫瘤が描出され、擦過細胞診にて核腫大、核形不整のみられる異型細胞集塊を認め、腺癌と診断、当院肝胆膵外科にて膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本病理では膵管内腔に充満する乳頭状腫瘍を認めた。組織学的には類円形ないし紡錘型核や細胞質内粘液を呈する高円柱状の腫瘍細胞が乳頭管状に増殖していたが、明らかな間質内浸潤は認めなかった。最終診断はnon-invasive intraductal papillary-mucinous carcinomaであった。我々は重症膵炎を契機に発見された膵管内腫瘍を経験した。急性膵炎の原因の一つとしてIPMNを念頭に置くとともに膵管内に充満発育するIPMNの画像所見を認識することが、IPMNの早期診断に重要であると考える。
索引用語 重症急性膵炎, IPMN