抄録 |
【目的】近年の画像診断の発達に伴い膵神経内分泌腫瘍(PNET)の検出率が向上している。一方、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)の普及により小病変の組織学的診断が可能となってきた。今回我々はWHO2010の分類に準じて当院でのPNETの診断におけるEUS-FNAの有用性について検討した。【方法】2010年4月~2012年9月までに当院で組織採取目的にEUS-FNAを行った症例は236例。そのうち組織学的にPNETと診断した16症例(男性/女性:7/9、平均年齢57歳、機能性/非機能性:1/15)、21病変(腫瘍径中央値12mm(7-70)、病変部位(頭部/体部/尾部:7/11/3))を対象とした。検討項目は1)EUS-FNA組織におけるWHO2010のgrading、2)治療経過の内訳、3)EUS-FNA組織と術後組織との比較とした。【成績】1)Ki67 indexが評価可能であったのは71.4%(15/21)、その内訳としてKi67 index(G1/G2/G3:8/6/1)であった。他は検体不十分により評価困難であった。2)外科切除43.7%(7/16)、経肝動脈的化学塞栓療法を含めた化学療法25.0%(4/16)、経過観察31.2%(5/16)であった。経過観察の理由は、手術拒否3例、合併症で手術不能2例であった。経過観察例のKi67 indexの内訳は(G1/G2/G3/不明:3/1/0/1)であり、経過観察期間中央値196日(98-404)でいずれも増大は見られなかった。3)EUS-FNA組織と術後組織を比較し得た3病変では全例においてKi67 indexが一致していた。【結論】PNETの組織診断においてEUS-FNAが有用であった。71.4%でKi67 indexが評価可能であり、EUS-FNAによる組織診断がPNETの予後予測の一助となる可能性があると考えられた。 |