セッション情報 一般演題

タイトル 3:

閉塞性黄疸、十二指腸狭窄をきたした異時性両側乳癌の一例

演者 山井 琢陽(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 高田 良司(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 高倉 玲奈(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 井岡 達也(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 大東 弘明(大阪府立成人病センター 消化器外科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科DELIMITER大阪府立成人病センター 消化器検診科)
抄録 【症例】64歳女性【主訴】黄疸【既往歴】昭和60年 他院にて右乳癌に対し乳房切除、腋窩リンパ節郭清後【現病歴】平成17年 左乳癌で乳房部分切除+センチネルリンパ節生検施行。術後アロマターゼインヒビター内服のみで特に再発なく経過観察されていた。平成23年6月頃よりから心窩部痛出現。腹部CT検査にて胆管閉塞を指摘され精査目的に当科紹介。腹部造影CTにて乳頭部腫瘍疑いで精査目的に入院となった。【入院後経過】入院後十二指腸観察およびERCP施行。十二指腸乳頭は口側隆起が緊満し周囲に発赤した粘膜を認めた。胆管深部挿入試みたが挿入できず、胆管造影のみで断念した。その際乳頭周囲の発赤した粘膜より生検し終了した。術後ERCP後膵炎、胆管炎を認め保存的に加療。改善を待って再度ERBDを施行し胆管ステントを留置した。しかし再度胆管炎を生じ、抗生剤投与にて軽快した。その後腹部膨満感、嘔気などの消化器症状出現。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸の狭窄が疑われた。腹部造影CT検査にて十二指腸下降脚‐水平脚での腫瘍性閉塞を指摘され外科的治療の方針となった。外科的には膵頭十二指腸切除も考慮される局面であったが、生検結果から乳癌再発の診断であったこと、乳癌の一転移巣であり根治手術ではないこと、侵襲が大きすぎることなどからバイパス術の適応と判断した。胆管‐空腸吻合、胃空腸吻合+胃切離+ブラウン吻合、R-Y再建によるバイパス術を行った。術後逆流性胆管炎や消化管閉塞などの症状なく、また、創感染などの大きな術後合併症合併症もなく術後17日目に軽快退院となった。【考察】本症例では胆管狭窄のため内視鏡的胆道ドレナージ術を施行し減黄したがその後頻回の胆管炎が発生したため早期に外科治療へ変更し良好な経過得た。その後早期に退院し、乳癌に対し化学療法を導入することができた。【結語】今回異時性両側乳癌術後、十二指腸転移をきたし閉塞性黄疸、十二指腸狭窄を認め外科的加療を要したまれな一例を経験したので報告する。
索引用語 閉塞性黄疸, 転移性乳癌