セッション情報 |
シンポジウム1「消化器診療におけるイノベーション」
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タイトル |
S1-10:膵腫瘍に対する造影ハーモニックEUS(CH-EUS)の有用性について
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演者 |
大本 俊介(近畿大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 |
北野 雅之(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科) |
抄録 |
【目的】我々は造影ハーモニック法に対応したEUSシステムを開発し、実質染影による膵疾患診断が行えるようになった。そこで、膵腫瘍性病変診断における造影ハーモニックEUS(CH-EUS)の有用性をMDCTと比較検討し、time intensity curve(TIC)による定量化を試みた。【方法】検討1:膵疾患が疑われ、造影EUSおよびMDCTを施行された277例について検討を行った。EUSシステムはOLYMPUS-ALOKA社製を使用した。通常のB-mode EUS(B-EUS)にて観察した後、造影ハーモニックモードに変更し、Sonazoid投与によりリアルタイムで観察した。B-EUSにて観察された病変を、それぞれCH-EUSによる造影パターンにより良悪性の鑑別を行った。全症例は外科切除あるいはEUS-FNAにより病理診断が可能であり、MDCTとCH-EUSの診断能について比較検討した。検討2:TICが作成可能であった膵腫瘍24例を対象とし、Sonazoid投与後のTICについて検討を行った。腫瘍内部にROIを設定し、ソナゾイド投与前のbaseintensity:BI,投与後の最高音圧をpeak intensity:PI、ソナゾイド投与からPIまでの時間をtime to peak:TTP としそれぞれ検討を行った。【成績】検討1:CH-EUSでは膵癌の診断能は感度が95.1%、特異度が89.0%であった。2cm以下の小膵癌の検討においては、CH-EUSの感度が91.2%特異度が94.4%であるのに対し、MDCTでは感度70.6%特異度が91.9%とCH- EUSの診断能が優位に優れていた。(P<0.05)検討2:TICの検討では、多血性の腫瘤と比較して膵癌症例でPIが低い傾向にあり、血流の流入速度が遅い傾向にあった。【結論】CH-EUS検査は、血行動態評価により病変の内部構造を明瞭に描出することが可能であり、EUSのみで描出される膵小病変の存在および鑑別診断に有用であり、TICを検討することで客観的な評価が可能となった。 |
索引用語 |
EUS, 造影 |