セッション情報 シンポジウム1 「ウイルス性肝炎治療の最前線」

タイトル S1-02:

HBs抗原消失を目指したエンテカビルとPEG-IFNα2b 48週併用療法の効果について

演者 萩原 智(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器内科)
抄録 【目的】 B型慢性肝炎患者に対し、ラミブジンもしくはアデホビルとPEG-IFNとの併用療法の有効性が報告されているが、長期的効果に関しての報告は少ない。一方、我々は、従来よりエンテカビル(ETV)とPEG-IFNα2b併用療法の有効性を報告してきた。今回は、その後の長期的効果について報告する。【方法】17例のB型慢性肝炎患者(平均年齢47歳、男性13例、女性4例、HBe抗原陽性11例、HBe抗原陰性6例、HBV遺伝子型は全例genotype C)に対し、ETVとPEG-IFNα2b投与を48週間施行し、治療終了24週時、ならびに24週以降の長期観察を行い、ウイルス学的、生化学的有効性を検討した。さらに投与前および48週投与終了後の肝生検標本について、肝内cccDNAを測定し、再燃との関連についても検討を行った。【結果】 血清HBV DNA量は48週投与終了時で、投与前と比較し平均5.2log copies/ml低下した。また投与終了後24週時においても平均3.3log低下していた。加えて4log以下の低ウイルス量を持続した症例が12例(71%)に認められた。治療終了後2.5年間の平均観察期間の間で、再燃(HBV-DNA >4.0log)なくdrug freeを達成できている症例が5例(29%)に認められた。またHBs抗原消失は2例(12%)で認められ、その消失時期は48週治療終了時と治療終了後3年7ヶ月であった。肝生検標本を用いた解析により、HBs抗原が消失した2例では、治療終了時の肝内cccDNA量の著明な減少が明らかとなった。【結論】ETVとPEG-IFNα2bの併用療法はその後の長期経過において再燃する症例が増加した。一方、HBs抗原消失例ではETV投与により肝内cccDNA量の著明な減少が認められた。
索引用語 PEG-IFNα2b, ETV