セッション情報 シンポジウム2 「原因不明消化管出血の診断と治療の最前線」

タイトル S2-02:

当院における原因不明消化管出血(OGIB)を呈した慢性腎臓病(CKD)患者の小腸病変の検討

演者 中路 幸之助(愛晋会 中江病院 内視鏡治療センター)
共同演者 中江 遵義(愛晋会 中江病院 内視鏡治療センター), 藤田 篤代(愛晋会 中江病院 内視鏡治療センター), 熊本 光孝(愛晋会 中江病院 内視鏡治療センター), 大林 倫子(愛晋会 中江病院 内視鏡治療センター)
抄録 【目的】近年、わが国において慢性腎臓病(CKD)患者は増加の一途にあり、その合併症が問題になっている。これらの患者で、原因不明消化管出血(OGIB)はしばしば起こる合併症で、大量出血を起こして病態を悪化させ、生命予後の悪化を引き起こす場合がある。今回われわれは慢性腎臓病患者のOGIB症例の小腸病変の特徴を検討した。【方法】2012年1月より2013年4月まで当院でカプセル内視鏡(CE)を施行した原因不明の鉄欠乏性貧血(IDA)5例を含むOGIBを呈したCKD患者10例について年齢、性、血液透析(HD)の有無、原疾患、検査動機、CE診断、治療などについて遡及的に検討した。【成績】平均年齢は72歳で、男性8例、 女性2例。うち血液透析(HD)患者3例を認め、CKDステージは3から5であった。原疾患は、高血圧2例、糖尿病3例、高尿酸血症2例、急性進行性糸球体腎炎1例、C型肝炎1例、不明1例であった。カプセル内視鏡による小腸病変の有所見率は60%であった。そのうちわけは、angioectasia2例、小腸びらん・潰瘍2例、小腸憩室出血2例、十二指腸潰瘍が1例であった。overt OGIBが3例あり、うちangioectasiaの1例は繰り返す出血に対してダブルバルーン内視鏡によるHSE局注・クリップ法により止血術を施行した。【結論】OGIBを呈するCKD患者では、高齢で腎機能低下は中等度から高度で、小腸病変を半数以上で認めた。CEはこれらのCKD患者に対して非侵襲的でOGIBの診断に有用であると考えられた。
索引用語 慢性腎臓病, OGIB