セッション情報 一般演題

タイトル 6:

肝転移破裂を契機に診断されたAFP産生胃癌の1例

演者 三好 晃平(八尾市立病院 消化器内科)
共同演者 巽 理(八尾市立病院 消化器内科), 田中 絵里(八尾市立病院 消化器内科), 末村 茂樹(八尾市立病院 消化器内科), 上田 高志(八尾市立病院 消化器内科), 寺部 文隆(八尾市立病院 消化器内科), 福井 弘幸(八尾市立病院 消化器内科), 吉田 重幸(八尾市立病院 放射線科), 竹田 雅司(八尾市立病院 病理診断科)
抄録 【症例】71歳男性、既往歴は高血圧症 平成24年12月、突然の心窩部痛で本院に救急搬送された。受診時、血圧 144/93mmHg,心拍 88/min,SpO2 96% 腹部は平坦でやや硬、心窩部から左季肋部の圧痛認めた。腹部ダイナミックCTで肝に辺縁部多血性、内部乏血性の腫瘤が多発、左葉外側域辺縁の腫瘤に接して腹腔内に被包化された液体腔を認めた。肝腫瘤破裂からの出血が疑われたが、撮影時点では造影剤のextravasationはなかった事から自然止血されている状態と考えられた。また、胃前庭部大弯に壁肥厚あり、隣接するリンパ節腫大認めた。刺青のためMRI検査は施行しなかった。第2病日に施行した上部消化管内視鏡検査にて前庭部後壁大弯寄りに3型胃癌認めた。内視鏡生検での病理結果はAFP-producing adenocarcinoma,papillary and poorly differntiated,group 5であった。受診時の血液検査ではRBC 433×104,Hb 14.7g/dL,HBs抗原陰性、HCV抗体陽性、腫瘍マーカーはCEA 2.4ng/mL,CA19-9 17U/mL,AFP 38161ng/mL,PIVKA2 582mAU/mLであった。以上よりAFP産生胃癌および肝転移巣からの腹腔内出血と診断した。入院後肝腫瘤からの出血を疑うエピソードなく経過した。第10病日よりTS-1+CDDP療法を開始した。1コース終了時より肝転移巣・原発巣周囲リンパ節の縮小を認め、その後も治療経過は良好である。【考察】本症例はHCVウィルスキャリアーであり腹腔内出血をきたした腫瘤の鑑別診断として肝細胞癌があげられるが、受診時のダイナミックCTの所見から転移性肝癌と胃前庭部の胃癌を強く疑い、上部消化管内視鏡検査にて3型進行胃癌を確認できた。AFP産生胃癌が肝転移巣の破裂により診断されたものは希少と考えられたため、若干の文献考察を含めこれを報告する。
索引用語 AFP産生胃癌, 肝腫瘍破裂