セッション情報 パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」

タイトル P2-04:

高齢者、特に後期高齢者における切除不能再発進行大腸癌に対するXELOX療法の安全性と有用性の検討

演者 中田 悠紀(大阪厚生年金病院 内科)
共同演者 内藤 雅文(大阪厚生年金病院 内科), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院 内科)
抄録 【目的】XELOX療法は、大腸癌の標準治療であるFORFOX療法に対してNO16966試験などにより、非劣勢が証明されている。またFORFOX療法に比べCVポート造設の必要がなく非侵襲的であり、注入ポンプの管理やポート感染などがないことから高齢者の治療により適していると考える。そこで我々は高齢者および後期高齢者のXELOX治療の安全性と有効性について分子標的治療薬との併用例も交えて検討を行った。【方法】2010年1月から2013年4月までに当院にてXELOX療法を行った65歳以上の進行大腸癌患者37例(うち後期高齢者17例)についてretrospectiveに検討を行った。【結果】XELOX療法を行った患者の年齢中央値は74歳で、併用薬としてはBevacizumabが23例、Cetuximabが3例で、11例はXELOX単独療法であり、投与コース回数の中央値は6コース(1-18)であった。奏効率(RR)は30.8%、病勢コントロール率(DCR)は73.0%であった。投薬の減量、休薬を必要としたのは21例(56.8%)で、有害事象によりXELOX療法を中止したものは10例(27.0%)であった。また後期高齢者においてRRは33.3%、DCRは83.3%であり、減量、休薬を必要としたのは10例(58.8%)で、有害事象によりXELOX療法を終了したものは5例(29.4%)であった。有害事象においては、Grade3以上の血液毒性が1例(血小板減少1例)で、Grade3以上の非血液毒性は倦怠感2例(11.7%)、下痢、嘔吐、ALT上昇がそれぞれ1例(5.8%)であった。主な非血液毒性は倦怠感12例(70.6%)、食思不振11例(64.7%)、神経障害10例(58.8%)であった。後期高齢者と前期高齢者との間にはRR、DCRともに有意差はなく、有害事象では食思不振が後期高齢者に多い傾向があったが、両群間に有意差のあるものはなかった。【結論】今回の検討においては多くの症例で投薬量の減量、休薬などが必要とされたが、XELOX療法は後期高齢者に対しても比較的安全に施行することができ、DCRも良好であった。高齢者は合併症が生じると肉体的、精神的なダメージが大きいことからも、早期に投薬減量、休薬を決断する必要があると考えられた。
索引用語 高齢者, XELOX