セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F2-7:高度腎機能障害を合併する肝性脳症の治療に難渋しながらもBRTOを施行し得た一例 |
演者 | 吉田 江里(大阪大学 医学部 附属病院) |
共同演者 | 瀧川 貴生(大阪大学 医学部 附属病院), 宮崎 昌典(大阪大学 医学部 附属病院), 江崎 久男(大阪大学 医学部 附属病院), 重川 稔(大阪大学 医学部 附属病院), 藥師神 崇行(大阪大学 医学部 附属病院), 名和 誉敏(大阪大学 医学部 附属病院), 加藤 元彦(大阪大学 医学部 附属病院), 新崎 信一郎(大阪大学 医学部 附属病院), 西田 勉(大阪大学 医学部 附属病院), 阪森 亮太郎(大阪大学 医学部 附属病院), 巽 智秀(大阪大学 医学部 附属病院), 平松 直樹(大阪大学 医学部 附属病院), 辻井 正彦(大阪大学 医学部 附属病院), 竹原 徹郎(大阪大学 医学部 附属病院) |
抄録 | 症例は50歳代男性。C型肝硬変、慢性腎不全にて当院通院中であった。2008年頃より肝性脳症出現し、分岐鎖アミノ酸製剤投与にて対応していたが、アミノ酸過剰負荷による尿毒症を発症したため同剤を中止し、2008年10月門脈肝静脈短絡塞栓術を施行された。術後、脳症は消失し、Child-Pugh 10点から6点に改善したが、2011年12月頃より脳症再発したため、分岐鎖アミノ酸製剤点滴を再開した。腎機能は徐々に悪化し、体液貯留傾向に対する利尿剤増量も必要となり、肝性脳症がさらに増悪することとなった。2013年2月頃より連日の点滴加療でも脳症のコントロールが困難となり、同年4月に精査加療目的で入院となった。入院時、肝性昏睡度II度が持続し、肝機能はChild-Pugh 8点、Cr5.6mg/dl、eGFR9.4 ml/min/1.73m2、アンモニア178μg/dlであった。入院後の安静、分岐鎖アミノ酸製剤投与、蛋白制限食、利尿剤の調整で、アンモニアは82μg/dlまで低下し脳症は消失した。単純MRI検査では骨盤内に下腸間膜静脈と交通する瘤様血管を認め、下腸間膜静脈-左腎静脈への門脈体循環短絡が疑われた。現治療の継続では外来での肝性脳症のコントロールは困難と判断し、第20病日、BRTOを施行し、下腸間膜静脈、同短絡の排出路となっている左精巣静脈、食道静脈瘤増悪予防のため左胃静脈をコイル及び硬化剤にて塞栓を行った。術後一過性にCr値は上昇し、腎機能保護目的に行った輸液負荷により体液貯留を認めた。利尿剤の増量が必要となり、それに伴いII度の肝性脳症を認めたが、輸液負荷と利尿剤の調整によりCrは徐々に低下し血液透析は回避でき、同時に脳症のコントロールも良好となった。BRTOは猪瀬型肝性脳症の治療の選択肢の一つであり、血液透析導入後に施行した報告も散見されるが、本症例のように透析導入前の高度腎機能障害をもつ患者での報告は稀であり文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | B-RTO, 肝性脳症 |