セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F2-8:長期にわたる血栓溶解療法により血管拡張術を施行し得たBudd-Chiari症候群の1例 |
演者 | 菊川 高行(大阪市立大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター) |
共同演者 | 元山 宏行(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 榎本 大(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 山本 晃(大阪市立大学医学部附属病院 放射線科), 西田 典史(大阪市立大学医学部附属病院 放射線科), 高田 さゆり(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 上野 綾子(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 小塚 立蔵(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 川村 悦史(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 萩原 淳司(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 藤井 英樹(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 打田 佐和子(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 森川 浩安(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 村上 善基(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 田守 昭博(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 三木 幸雄(大阪市立大学医学部附属病院 放射線科), 河田 則文(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科) |
抄録 | 【緒言】Budd-Chiari症候群は30-40歳代の女性に多いとされ、原因として本邦では膜様閉塞、欧米では血栓による発症が多い。今回、我々は膜様閉塞に血栓を伴うBudd-Chiari症候群の1例を経験したので報告する。【症例】 31歳、女性【主訴】 腹壁静脈怒張【既往歴】 1型糖尿病【内服歴】経口避妊薬使用なし【妊娠歴】なし【現病歴】 2010年、右季肋部痛、右腹壁静脈怒張が出現し近医受診も異常指摘されず経過観察となっていた。2012年12月、腹壁全体の静脈怒張と疼痛が出現し、近医受診。造影CTにて肝部下大静脈に膜様閉塞と血栓を認めBudd-Chiari症候群と診断され、精査加療目的にて2013年3月当院入院となった。【入院時現症/検査】腹部全体に上行性腹壁静脈怒張と下肢浮腫を軽度認めた。血液検査:WBC 5200 /μl、RBC 406 万/μl、Hb 11.9 g/dl、PLT 7.9 万/μl、PT 55 %、PT-INR 1.27、TP 6.5 g/dl、Alb 3.8 g/dl、T-Bil 1.5 mg/dl、AST 29 IU/L、ALT 20 IU/L、ChE 172 IU/L、ICG (15分) 26.6 %、Dダイマー 0.8 μg/ml、ATIII 79 %【経過】入院後、腹部超音波検査、血管造影にて肝部下大静脈に膜様閉塞と長径50mm大の血栓を認めた。血管拡張術の適応であるが血栓存在下では他臓器梗塞のリスクが高く血栓溶解する必要があった為、ダナパロイドナトリウム(2500単位/日)及びワルファリンを開始した。開始後28日目に血栓の完全溶解を確認した。膜様閉塞部に対して血管拡張術を施行し下大静脈の再開通を得た。開通後、下肢浮腫、腹壁静脈怒張の改善と肝硬度 66.5 kPa から14.8 kPaと改善が得られた。【結語】下大静脈血栓に対する長期溶解療法を行った症例報告は少ない。今回、我々は長期にわたる血栓溶解療法により血管拡張術を施行し得たBudd-Chiari症候群の1例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | Budd-Chiari症候群, 血栓 |