セッション情報 パネルディスカッション1 「肝・胆・膵腫瘍性病変早期発見に向けた取り組み」

タイトル P1-05:

Gd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相低信号結節の臨床的転帰

演者 千葉 三保(大阪厚生年金病院 内科)
共同演者 内藤 雅文(大阪厚生年金病院 内科), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院 内科)
抄録 【目的】Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)の肝細胞相での低信号結節が多数発見されるようになり、その確定診断に苦慮する症例を経験するようになった。今回我々はEOB-MRI肝細胞相にて低信号となる結節の臨床的転帰に関して、その長期経過も追跡し検討したので報告する。【方法】対象は2008年6月~2010年2月の期間に当院でソナゾイド造影超音波(造影US)とEOB-MRIが同時期に施行された100例113結節のうち、EOB-MRI肝細胞相で低信号となる69症例79結節を対象とし検討を行った。EOB-MRIはプリモビスト(0.1ml/kg)を静注し、FLASH法にて動脈相(注入後30秒、17秒間)、後期相(同2分後)、肝細胞相(同17分後)を撮影した。造影USはソナゾイド(0.5ml/body)を急速静注し、血管相で早期濃染の有無を確認した後に、後血管相で欠損の有無を観察した。【結果】1) 79結節のうち、48結節は肝細胞癌、4結節は転移性肝腫瘍と診断可能であった。残り27結節のうち、9結節は造影USなどのmodalityを用いて、血管腫、FNHなどと診断可能であった。残る18結節は造影USで極めて不明瞭もしくは同定困難であり、確定診断に至らないSOLとして経過観察を行った。18例は全例慢性肝疾患を背景に有していた。2) 18結節のうち12結節(平均観察期間 17.5ヶ月)は経過観察中サイズの増大または明瞭化があり、HCCと診断し治療を行った(A群)。18結節のうち残り6結節(平均観察期間 17.5ヶ月)はサイズ変化なし、または縮小・消失を認め、経過観察中である(B群)。3) SOL発見時の腫瘍径(A群:12mm、B群:9mm)、EOB-MRI早期濃染の有無(A群:5/12、B群3/6)、T2WI高信号(A群:7/12、B群:2/6)ついて、両群間で有意差は認めなかった。また、AFP値はA群で高い傾向を認めたものの有意差は認めなかった(A群:40.0ng/mL、B群:10.3ng/mL)。4) 18結節の経過観察中のHCC確定診断率は、1年で18%、2年で59%であった。【結論】EOB-MRI肝細胞相にて低信号となる結節は、発見時は診断困難であっても経過観察中に高率に肝細胞癌の確定診断に至るため、慎重な経過観察が重要であると考えられた。
索引用語 EOB-MRI肝細胞相, 臨床的転帰