セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-5:

高度の血管内溶血をきたし死亡したClostridium perfringensによるガス産生性肝膿瘍の一例

演者 藤野 貴大(京都第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院 消化器内科), 太田 崇之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 松村 晋矢(京都第一赤十字病院 消化器内科), 寺崎 慶(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院 消化器内科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院 消化器内科), 豊川 優季(京都第一赤十字病院 消化器内科), 川上 巧(京都第一赤十字病院 消化器内科), 山田 真也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器内科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器内科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器内科)
抄録 【症例】66歳男性【既往歴】糖尿病、慢性腎不全があり、近医で維持透析を行っていた。【現病歴】透析のため近医を受診した際、39.9℃の発熱があり、精査目的で当院に救急搬送された。救急受診時の単純CTで肝後区域に3cm大の淡い低吸収域を認めた。約1.5時間後に撮影した造影CTでは前述の部位にガス像を認めたため、ガス産生菌による肝膿瘍が疑われた。【経過】Cefmetazoleの投与を開始し、受診6時間後に超音波下に経皮的肝膿瘍ドレナージチューブを留置した。受診15時間後に、意識レベル低下、呼吸不全、ショックとなり、著明なアシドーシス、高カリウム血症を認め、採血では高度の溶血がみられた。肝膿瘍から採取した検体のグラム染色でグラム陽性桿菌が検出され、高度の溶血を呈したことから、Clostridium perfringens肝膿瘍からの敗血症とその毒素による急性溶血を疑った。抗生剤をmeropenemに変更し、高カリウム血症に対し低効率血液濾過透析(SLED)を開始し、ショックに対しdopamine、noradrenalinの投与を行い、溶血の原因となるClostridium perfringens毒素を除去する目的で血漿交換を30単位行った。上記の治療にもかかわらず、溶血が持続しショック状態から離脱できないため、乾燥ガス壊疽ウマ抗毒素の投与も行ったが、受診から43時間後に多臓器不全のため死亡した。死後に膿汁培養、血液培養からClostridium perfringensが証明された。【考察】Clostridium perfringens感染症は、敗血症、血管内溶血を発症すると致死率が高く、数時間から数日の急激な経過で培養結果が判明する前に死亡するケースが多い。ガス産生性感染症を診たときにはClostridium perfringens感染を鑑別疾患の一つとして考慮し、溶血の発症に注意し、グラム染色でグラム陽性桿菌が検出された時点で培養結果を待たずに早期に適切な治療を行わなければ救命することは難しいと考えられた。
索引用語 肝膿瘍, Clostridium perfringens