セッション情報 |
シンポジウム1 「ウイルス性肝炎治療の最前線」
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タイトル |
S1-03:核酸アナログ中止後の再燃リスク規定因子の検討
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演者 |
小塚 立蔵(大阪市立大学大学院 肝胆膵病態内科学) |
共同演者 |
榎本 大(大阪市立大学大学院 肝胆膵病態内科学), 河田 則文(大阪市立大学大学院 肝胆膵病態内科学) |
抄録 |
【背景】核酸アナログ(NA)の治療を如何に中止するかが議論されるようになり、中止方法として、単独中止とIFNを併用するSequential療法が検討されている。また、HBeAg陰性例に対してHBcrAg、HBsAgを用いた中止基準が研究班から提唱されている。【目的】1)NA投与例において単独中止した場合の再燃を規定する因子を検討した。2)Sequential療法を行ったHBeAg陽性例において非再燃を規定する因子を検討した。【方法】1)対象はNAを6ヶ月以上投与した225例のうち、HBeAg陰性かつHBV-DNA<3.0 log/mLを満たす172例(エンテカビル132例、ラミブジン単独13例、アデフォビル併用27例)。NAを中止した場合の再燃リスクを研究班が提唱したスコアにより分類し、低リスク群を規定する因子について解析を行った。2)対象はSequential療法を行ったHBeAg陽性37例(ラミブジン28例、エンテカビル9例)。非再燃を規定する因子について解析を行った。なお、効果判定は、投与終了6ヶ月のALT正常化、HBeAg陰性化、HBV DNA<4.0 log copies/mLを非再燃とした。【成績】1)NA開始年齢53±11歳、男性67%、HBeAg陽性26%、genotype C 89%、IFN治療歴有り27%、肝硬変30%、HCC有り32%、投与期間4.7(0.6-11.8)年であった。低リスク群は20例(12%)、中リスク群は69例(40%)、高リスク群は83例(48%)であった。低リスク群と中~高リスク群の比較では、NA開始年齢58±10 vs 52±11歳(p=0.015)、HBeAg陽性例5 vs 29%(p=0.027)、HBV-DNA 5.0±1.7 vs 6.4±1.4 log copies/mL(p=0.001)、直近のHBV-DNA陽性例5 vs 25%(p=0.047)、ALT 25 vs 20 IU/L(p=0.036)であった。多変量解析では、NA開始時HBV-DNA(OR 6.98、95%CI 2.24-21.8、p=0.001)が低リスクを規定する唯一の独立因子であった。2)Sequential療法後の非再燃11例は31±8歳と有意に若く(p=0.008)、NAによるHBeAg陰性化が64%と有意に高かった(p=0.028)。【結論】1)NA投与例のうち中止後再燃低リスク群に分類される症例は、開始時HBV-DNAが低いことが示された。2) 一方、Sequential療法では若年でNAによりHBeAg陰性化が得られた症例で治療後の再燃率が低いことが示された。 |
索引用語 |
B型慢性肝疾患, 核酸アナログ |