セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F4-4:胆管内発育型HCCに対するTACE後、腫瘍脱落を来たし閉塞性黄疸に至った一例 |
演者 | 大畔 健太(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 坂根 貞嗣(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 長谷川 裕子(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 福富 啓祐(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 木村 圭一(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 杉本 彩(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 日比野 賢嗣(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 田村 猛(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 岩崎 哲也(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 岩崎 竜一朗(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 榊原 祐子(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 山田 拓哉(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 外山 隆(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 中水流 正一(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 石田 永(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 三田 英治(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科) |
抄録 | 【症例】61歳、男性 【主訴】腹部膨満、背部痛 【現病歴】2005年にC型慢性肝炎と肝細胞癌(HCC)を指摘され当院紹介、以後再発に対し肝動脈化学塞栓療法(TACE)を繰り返し施行していた。2012年11月のダイナミックCTでS4肝門部の20mm大をはじめ多数のHCC再発を認め、2013年1月中旬に11回目のTACEを施行した。術後一過性の黄疸の出現を認めたため腹部CT検査を施行したところ、リピオドール貯留を伴うS4腫瘍の肝門部への進展を認め、HCCの胆管内発育による閉塞性黄疸と診断した。減黄処置は施行せず保存的加療を行い、術後10日目に黄疸は自然軽快し退院した。2013年2月下旬、腹部膨満および背部痛が出現し緊急入院となった。血液検査で肝胆道系酵素の上昇と黄疸の軽度進行を認め、腹部単純CT検査では両葉の肝内胆管の拡張に加え、リピオドール貯留を伴っていた腫瘤の一部の中部胆管への脱落が見られた事から、HCCの腫瘍壊死に伴う総胆管内への塞栓による閉塞性黄疸と診断した。内視鏡的逆行性胆道造影では、総胆管内で移動する陰影欠損像を認め、脱落した腫瘍片と考えられた。一旦内視鏡的逆行性胆管ドレナージで減黄を行い、後日経口胆道鏡(POCS)により胆道内を観察すると、総胆管内に乳頭状の隆起性病変を認めた。内視鏡的乳頭括約筋切開術を行い結石摘出用バルーンカテーテルにより腫瘍片を摘出して病理組織学的診断を行ったところ、少量の腺上皮の断片が観察され壊死した腫瘍組織であった可能性が示唆された。摘出後に再度POCSにより総胆管内を観察すると、肝門分岐部から下部総胆管に至るまで正常胆管上皮で覆われ明らかな腫瘍の露出は認めず、肝内胆管内に発育したHCCが総胆管に脱落した事を示唆するものであった。以後黄疸の出現や同部位の腫瘍再発は認めず経過している。 【考察】胆管内発育型HCCのTACE後の腫瘍脱落による閉塞性黄疸は複数の報告が見られるが、腫瘍片を内視鏡的に摘出した上でPOCSにより胆管内を観察できた例は他にない。若干の文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | TACE, 胆管内発育型HCC |