セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F4-6:

B型肝炎ウイルスを重複感染したセロタイプ1高ウイルス量C型肝硬変のペグインターフェロンα2a/リバビリン併用療法再燃例に対してリバウンドを利用してインターフェロン治療を行い著効が得られた1例

演者 谷本 考史(市立吹田市民病院 内科)
共同演者 永瀬 寿彦(市立吹田市民病院 内科), 湯口 清徳(市立吹田市民病院 内科), 若松 周司(市立吹田市民病院 内科), 笹川 廣和(市立吹田市民病院 内科), 澤村 真理子(市立吹田市民病院 内科), 長生 幸司(市立吹田市民病院 内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院 内科)
抄録 【目的】C型肝硬変の抗ウイルス療法は線維化進展、血小板低値などの理由で治療に難渋し著効率も低い。一方、C型肝炎ウイルス(HCV)とB型肝炎ウイルス(HBV)が重複感染した場合、一般にHBVの増殖は抑制されるがインターフェロン(IFN)治療によるHCVのウイルス量減少に伴いHBVの増殖・肝炎再燃の報告がみられる。今回、テンカビル(ENT)投与、部分的脾動脈塞栓術(PSE)、ペグインターフェロン(PEG-IFN)α2a/リバビリン(RBV)併用療法終了後リバウンドを利用したIFN療法により著効が得られたHBV重複感染C型肝硬変の1例を経験したので報告する。【症例】50歳代、女性。T.Bil.1.0mg/dl, AST50IU/L, ALT47, アルブミン4.2g/dl, 血小板7.5万/μl, PT94%, HPT81, HCVRNA 5.6log IU/ml、セロタイプ1, HBVDNA 3.3log copies/ml。トランスアミナーゼの異常はHBVのウイルス量からHCVによるものと思われたが、本症例が肝硬変であること、またIFN治療によるHCVのウイルス量減少に伴いHBVの増殖・肝炎再燃の報告があることから、まず、ENT治療を開始した。ウイルス量は速やかに陰性化したがトランスアミナーゼ異常は持続。肝硬変で血小板低値であったため、次にPSEを施行した。12日後には血小板20.4万/μlまで改善を認め、PEG-IFNα2a/ RBV投与を開始。HCVRNA は24週後に陰性化したため治療期間は72週間としたが治療終了後再燃し、10週後にはHCVRNA 5.7 log IU/mlまで上昇。しかし、15週後には1.2ミマンに低下したため、リバウンド療法としてPEG-IFNα2a 48週間の単独療法を行い著効を得た。【結語】本症例はHBVを重複感染したセロタイプ1高ウイルス量C型肝硬変で治療に難渋することが予想されたが、ENT投与、PSE、PEG-IFNα2a/RBV併用療法終了後リバウンドを利用しPEG-IFNα2a単独療法により著効が得られた。
索引用語 C型肝硬変, リバウンド療法