セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y4-1:多発痔瘻を合併したCrohn病患者に対してSeton drainageと高容量Infliximabにて妊娠・出産に成功した1例 |
演者 | 岩佐 陽介(奈良県立医科大学 消化器・総合外科) |
共同演者 | 小山 文一(奈良県立医科大学 消化器・総合外科DELIMITER奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡・超音波部), 中川 正(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 中村 信治(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 植田 剛(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 錦織 直人(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 井上 隆(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 川崎 敬次郎(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 尾原 伸作(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 中本 貴透(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 藤井 久男(奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡・超音波部), 中島 祥介(奈良県立医科大学 消化器・総合外科) |
抄録 | [はじめに] 近年増加傾向にあるCrohn病(CD)は10代後半から20代に好発し,痔瘻や内瘻をきたす症例も多く,妊娠・出産に際して困難を伴うことが多い. 妊娠前後・妊娠中の病勢コントロールはもちろん,胎児に及ぼすリスクをいかにマネージメントするかが重要な課題である.今回,多発痔瘻を有するCD 患者をSeton drainageと高容量Infliximab(IFX)4週毎投与にて病勢コントロールを行い,妊娠・出産に成功した1例を経験した. [症例]36歳,女性.22歳時に大腸型CDを発症.大腸病変の再燃を繰り返し,ステロイド内服と5-ASAでのコントロールが困難で,26歳時よりIFXを導入した.また肛門周囲膿瘍を繰り返すため、27歳時よりドレナージ治療を繰り返していた.29歳時より8週毎の5mg/kgのIFX維持投与を行うも,30歳で大腸全域に再燃増悪をきたした.さらに痔瘻悪化と直腸膣瘻への進展を認め, IFX 4週毎投与に変更した.その後も痔瘻の悪化を認め,直腸膣瘻の悪化が危惧された.35歳時に全ての瘻孔に対してSeton drainageを行い,IFX を10mg/kgの4週毎投与を行ったところ,寛解が得られ妊娠が成立した.妊娠中は,基本的にはIFX を10mg/kgの4週毎投与を継続し,胎児の器官形成期のみIFXを休薬した.最終的に38週2日で帝王切開にて3052gの男児を無事出産した.出産後3ヶ月経過し,授乳も行っているが現時点での児の発育に異常なく順調に経過している.[考察] 妊娠中のIFXの使用に関しては,妊娠・胎児のリスクは増加しないという海外の報告があるが,本邦では妊娠中にIFXを投与した報告が少なく,危険性について明らかではない.今回我々は,IFX 10mg/kgの4週毎投与を継続しつつ妊娠・出産に成功した痔瘻合併CD症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | Crohn病, 妊娠・出産 |