セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-5:

胃蜂窩織炎を契機に発見された進行胃癌の一例

演者 大内 祥平(市立伊丹病院)
共同演者 樫原 優子(市立伊丹病院), 小山 秀和(市立伊丹病院), 三浦 由雄(市立伊丹病院), 山口 典高(市立伊丹病院), 明田 寛史(市立伊丹病院), 荻山 秀治(市立伊丹病院), 堀木 優志(市立伊丹病院), 佐治 雪子(市立伊丹病院), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院), 村山 洋子(市立伊丹病院), 筒井 秀作(市立伊丹病院)
抄録 【症例】50歳代の女性。【既往歴】特になし。
【主訴】心窩部痛【現病歴】200X年11月某日から嘔吐が出現し、近医を受診しウイルス性腸炎と診断された。2日後から強い心窩部痛が出現し水分摂取も困難になったため当院を受診した。体温40.2度。腹部は平坦、板状硬で、心窩部に強い圧痛と反跳痛を認めた。血液検査では白血球7600/μl(好中球92.7%)、CRP58.95mg/dlと著明な炎症所見を認め、プロカルシトニン≧10ng/mlと上昇していた。腹部造影CTでは胃全体の著明な壁肥厚を認めたが、胃壁の造影は良好であった。また、左鎖骨上窩に径数mm大、胃大弯側に径25mm大のリンパ節と左傍結腸溝に腹水を認めた。上部消化管内視鏡では粘膜面は浮腫状で壁の伸展性は低下していた。体中部大弯に2.0cmの辺縁不整で中心部が陥凹する2型の進行胃癌を認めた。以上よりVirchow転移を来した進行胃癌に急性の胃蜂窩織炎を合併したと診断し輸液とメロペネムによる抗菌薬加療を開始した。加療後、第9病日に解熱し、血液検査所見でも炎症反応の改善を認めた。第20病日の腹部CTでは胃壁の肥厚は消失した。現在、胃癌に対してS1とCDDPによる抗癌化学療法を施行中であり、体部大弯のリンパ節腫大の縮小を認めている。
【考察】胃蜂窩織炎はびまん性あるいは限局性の化膿性炎症で、胃膿瘍を含む比較的まれな疾患である。今回、胃蜂窩織炎を契機に発見された進行胃癌の症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃蜂窩織炎, 胃癌