セッション情報 一般演題

タイトル 21:

回腸末端に発生したinflammatory fibroid polyp; IFPの1例

演者 佐野村 誠(北摂総合病院 消化器内科)
共同演者 原 美紀(北摂総合病院 消化器内科), 西川 知宏(北摂総合病院 消化器内科), 原 あずさ(北摂総合病院 消化器内科), 吉田 紘子(北摂総合病院 消化器内科), 中 悠(北摂総合病院 消化器内科), 西谷 仁(北摂総合病院 消化器内科), 佐々木 有一(北摂総合病院 消化器内科), 森川 浩志(森川クリニック), 樋口 和秀(大阪医科大学 第2内科)
抄録 【はじめに】inflammatory fibroid polyp; IFPは粘膜下腫瘍の肉眼形態を呈する良性腫瘍であり,小腸では回腸に発生することが多い.症状は,腹痛・嘔吐を来すことが多く,出血の頻度は低い.肉眼形態は亜有茎性または有茎の粘膜下腫瘍様隆起を呈し,表面にびらん・潰瘍を形成する.成因は反応性の炎症性ポリープ説が有力である.今回我々は,回腸末端の多結節性のIFPの1例を経験したので,その肉眼形態を中心に報告する.【症例】46歳,女性.【主訴】便潜血陽性【既往歴】40歳時 胃癌にて手術【現病歴】2010年8月便潜血陽性にて当科外来で大腸内視鏡検査を施行したところ,回盲部に病変を指摘された.【注腸X線検査】回腸末端に可動性を有する15mm大の多結節状の隆起性病変を認める.【大腸内視鏡検査】回腸末端(Bauhin弁上唇)に15mm大のIs型隆起性病変を認める.病変の基部は回腸末端に存在し,空気量の変化にて,腫瘤はBauhin弁に逸脱する.腫瘤は多結節性であり,病変の大部分は小腸粘膜に覆われた粘膜下腫瘍様の形態を示し,結節の一部がびらん・白苔を伴っている.【臨床経過】当初,内視鏡的治療(EMR)を考慮したが,生検病理標本にて異型性のある細胞が検出され,また,粘膜下腫瘍の形態を呈していたこと,FDG-PET/CT検査にてFDGの集積を認めたことなどから,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.【病理組織】腫瘤は非腫瘍性上皮で覆われ,好酸球の豊富な高度の炎症細胞浸潤,線維増生および肉芽組織で形成されていた.血管周囲には線維化を伴っており,Onion skin様所見がみられ,IFPと診断した.【まとめ】典型的なIFPに比べて,多結節性であり,表面のびらん形成部の領域が小さいために術前診断にやや難渋した回腸IFPの1例を経験したので報告する.
索引用語 IFP, 回腸