セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y7-07:門脈内に穿破した膵仮性嚢胞の1例 |
演者 | 杉本 彩(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 榊原 祐子(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 福富 啓祐(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 木村 圭一(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 日比野 賢嗣(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 坂根 貞嗣(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 田村 猛(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 岩崎 哲也(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 岩崎 竜一朗(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 長谷川 裕子(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 山田 拓哉(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 外山 隆(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 中水流 正一(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 石田 永(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 三田 英治(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】膵仮性嚢胞の門脈内穿破は非常に稀である。今回、膵仮性嚢胞が門脈に穿破し、門脈閉塞を来した症例を経験したので報告する。【症例】36歳、男性。2005年にHIV感染症を指摘され、近医で抗ウイルス療法中であった。2012年5月上腹部痛を主訴に近医を受診し、アルコール性急性膵炎、予後因子1点(CRP 20.3 mg/dl)、造影CT Grade 1と診断され、急性膵炎の治療を開始された。腹部CTで膵頭部から体部にかけて約8cmの仮性嚢胞も複数認められたが、嚢胞感染がなかったため経過観察となり、5月下旬に退院した。6月中旬に再び上腹部痛があり、CRP 16.7 mg/dl、アミラーゼ 2791 IU/Lと高値であったため再入院となった。急性膵炎に対する治療で上腹部痛は消失したが、CRPとアミラーゼ高値が持続した。膵仮性嚢胞は7週間以上縮小せずに残存したため、内視鏡的治療目的に同年7月当院に転院となった。入院後のCTで膵仮性嚢胞は約10cmに増大しており、門脈は造影されず、膵仮性嚢胞と門脈のCT値が同じであった。また、MRIで門脈はT1 強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を呈したことから、膵仮性嚢胞の門脈内穿破と診断した。手術や内視鏡的嚢胞ドレナージを検討したが、膵炎の波及によって膵周囲の血管が閉塞していたため門脈再建を含む手術は不可能と判断され、側副血行路が発達していたため膵仮性嚢胞穿刺も困難と判断し、経過観察の方針となった。その後のCTでも門脈血流の再開はなかったが、CRPと膵酵素は正常範囲内まで改善し、膵仮性嚢胞も45mmまで縮小したため退院となった。同年9月のCTで膵仮性嚢胞は消失していた。【考察】膵仮性嚢胞の門脈内穿破に対する治療として膵仮性嚢胞切除と門脈再建が試みられることもあるが、出血や感染のコントロールができずに死亡する症例が比較的多い。本症例は、膵仮性嚢胞に対して手術や内視鏡的ドレナージをすることなく膵仮性嚢胞は自然消失したが、今後も門脈血流低下による肝不全に注意が必要である。 |
索引用語 | 膵仮性嚢胞, 門脈穿破 |