セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-6:

肝静脈血栓を伴った肝膿瘍の一例

演者 向井 エリ(市立伊丹病院 内科)
共同演者 橿原 優子(市立伊丹病院 消化器内科), 大内 祥平(市立伊丹病院 消化器内科), 小山 秀和(市立伊丹病院 消化器内科), 三浦 由雄(市立伊丹病院 消化器内科), 山口 典高(市立伊丹病院 消化器内科), 明田 寛史(市立伊丹病院 消化器内科), 荻山 秀治(市立伊丹病院 消化器内科), 堀木 優志(市立伊丹病院 消化器内科), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院 消化器内科), 佐治 雪子(市立伊丹病院 消化器内科), 村山 洋子(市立伊丹病院 消化器内科), 筒井 秀作(市立伊丹病院 消化器内科)
抄録 症例は50歳代、男性。主訴は全身倦怠感。既往歴に糖尿病あり。201X年2月中旬より発熱、全身倦怠感、食欲低下が出現し1週間で約8kg体重が減少したため近医を受診した。尿糖5+、血糖418mg/dlのため、精査加療目的で当院紹介受診した。体温37.5℃、WBC16500/μl、CRP17.71mg/dlと炎症反応の上昇と、ALT 44 IU/l,ALP 562 IU/lと肝胆道系酵素の上昇を認めた。なお、Glu339mg/dl、HbA1c 13.5%で血糖コントロールは不良であった。造影CTでは肝S5,6に径4cm以下の嚢胞性腫瘤が数個集蔟し、肝膿瘍と考えられたが、全ての膿瘍にドレナージを行うことは困難と考え、MEPM 1.5g/day投与とインスリンの投与を開始した。第4病日に38.5℃の発熱、WBC 20900 /μl、CRP 14.95 mg/dl、ALT 145 IU/l、ALP 476 IU/lと炎症反応の増悪と著名な肝機能の悪化を認め、造影CTでは右肝静脈に血栓を認めた。経皮的肝膿瘍ドレナージは血栓を遊離させるリスクがあると判断し、MEPM 3g/dayに増量し、ヘパリンナトリウムの投与を開始した。第6病日には、血液培養よりStreptococcus constellatus/milleriが検出され、感受性のあるABPC/SBT 9g/dayに変更した。第14病日よりワルファリンカリウムの内服を開始した。その後炎症反応、肝機能は徐々に改善し、造影CTでは右肝静脈血栓の縮小を認めた。第32病日より抗菌薬をSBTPC+AMPCの内服に変更し、その後も炎症反応の上昇を認めなかったため、第39病日に退院となった。今回我々は肝膿瘍に肝静脈血栓を合併した稀な1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝膿瘍, 肝静脈血栓