セッション情報 パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」

タイトル P2-13:

ゲムシタビン不応切除不能膵癌に対する2次治療ゲムシタビン+S-1併用療法の治療成績

演者 重川 稔(大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学)
共同演者 西田 勉(大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学)
抄録 【目的】切除不能膵癌に対する1次化学療法としてゲムシタビン(GEM)+S-1療法(GS療法)は全生存期間(OS)においてGEM単独を上回っていたものの統計学的な優越性は示されなかった(GEST試験).しかしGS療法はGEM単独に比し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示され(ハザード比0.66,p<0.001),抗腫瘍効果におけるS-1の可能性が示唆された.当院ではGEM不応切除不能膵癌の2次治療としてS-1のdose intensityを高めたGS療法を行ってきた.今回2次治療としてのGS療法の治療効果を後ろ向きに検討した.
【対象および方法】2009年1月から2013年5月の期間,切除不能膵癌に対して1次治療にGEM単独,GEM+エルロチニブ,GEM+放射線療法を施行した66例を対象とした.2次治療への移行率およびGS療法の有用性としてGS療法後のPFS,OSをKaplan-Meier法にて,奏効率(RR),病勢制御率(DCR)はRECIST最良効果判定にて評価した。また,レジメンの忍容性を有害事象,中止率,薬剤減量率にて評価した.GS療法のレジメンはS-1(80mg/m2,day1-21),GEM(800mg/m2,day1,day15)とし,28日を1コースとした.
【結果】1次治療にGEMベースの治療を行った66例のうち,2次治療にGS療法を行ったのは30例,S-1療法は1例で,2次治療移行率は47%であった.GS療法30例の年齢中央値(範囲)は61.5歳(45-83),性別は男性19例/女性11例であった.OS中央値は8.7ヶ月,PFSは3.9ヶ月であった.PRを3例,SDを11例に認め,RR 13%,DCR 50%であった。Grade3の有害事象は,食思不振3例(10%),疲労2例(6.7%),下痢1例(3.3%),眼乾燥1例(3.3%),口内炎1例(3.3%),白血球減少6例(20%),貧血6例(20%),好中球減少4例(13%)を認め,Grade4の有害事象は認められなかった。5例(17%)に有害事象による中止を認めた(食思不振1例,疲労2例,眼乾燥1例,末梢神経障害1例).7例にS-1の減量、2例にS-1の投与期間短縮、1例にGEM減量が必要だったが,減量後治療継続が可能であった.
【結論】GEM不応切除不能膵癌に対する2次治療としてS-1のdose intensityを高めたGS療法は有効であることが期待される.
索引用語 膵癌2次治療, GS療法