セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y3-04:

興味深い経過をたどったMeckel憩室によるmesodiverticular bandに起因する絞扼性イレウスの1例

演者 飯田 実加(奈良県立五條病院 消化器病センター)
共同演者 澤 信宏(奈良県立五條病院 消化器病センター), 福島 功士(奈良県立五條病院 消化器病センター), 渡辺 淳(奈良県立五條病院 消化器病センター), 中谷 聡(奈良県立五條病院 消化器病センター), 中西 啓祐(奈良県立五條病院 消化器病センター), 堀内 葉月(奈良県立五條病院 消化器病センター), 明石 陽介(奈良県立五條病院 消化器病センター), 竹田 幸祐(奈良県立五條病院 消化器病センター), 森岡 千恵(奈良県立五條病院 消化器病センター), 森安 博人(奈良県立五條病院 消化器病センター), 大住 周司(奈良県立五條病院 消化器病センター), 西脇 英敏(奈良県立五條病院 消化器病センター), 吉村 淳(奈良県立五條病院 消化器病センター), 松本 昌美(奈良県立五條病院 消化器病センター)
抄録 【症例】20歳代男性,生来健康であった.2013年4月中旬より嘔気と心窩部痛,37℃台の微熱が出現した.翌日に前医を受診し虫垂炎が疑われ当院内科紹介となった.来院時,体温は37.0℃,腹部は平坦軟で右下腹部の圧痛および反跳痛を認めた.血液検査ではWBC 11720/μl(Neu91.5%),CRP 0.13mg/dlであった.腹部立位単純X線では鏡面像はなく単純腹部CT検査でもごく少量の腹水を認めるが鏡面像はなかった.また明らかな虫垂の腫大および周囲の脂肪織の混濁を認めなかった.CMZの投与後も腹痛が増強するため緊急入院となり絶食,抗生剤の投与により厳重に経過観察された.入院後,次第に腹痛の増悪,筋性防御が出現し腹部CT検査で腹水の増量,腸内溶液の貯留および腸管壁の肥厚が認められイレウスと診断した.当院外科コンサルトの上,原因検索のため入院12時間後に診断的腹腔鏡が施行された.腹腔鏡下で血性腹水を認めたため腸管壊死が疑われ直視下開腹術へ切り替えられた.腹腔内へ達すると赤褐色に変色した壊死腸管を認め閉塞起点は回盲部から約80cmのMeckel憩室によるmesodiverticular bandであることが判明した.bandを切除することで絞扼を解除し壊死小腸を約85cm切除し手術を終了した.術後の経過は比較的良好で術後16日で退院した.【考察】Meckel憩室は胎生期の卵黄管が遺残することにより生じる憩室であり好発年齢は約半数が2歳以下で憩室炎,腸閉塞,潰瘍,消化管出血などを起こしうる疾患である.自験例ではMeckel憩室によるmesodiverticular band から絞扼性イレウスをきたした.成人においてイレウスをきたしたMeckel憩室の症例は過去にも報告されているが,本例では発症当初にイレウス症状や典型的な画像所見を欠き虫垂炎が疑われたが,経時的にCT検査を行うことで診断され手術にて治癒しえた.【結語】興味深い経過をたどったMeckel憩室によるmesodiverticular bandに起因する絞扼性イレウスの1例を経験した.成人の急性腹症に遭遇した場合,本症も鑑別の1つに挙げることが肝要であると考えられた.
索引用語 Meckel憩室, 腸閉塞