セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y3-01:

自然軽快を繰り返し診断に難渋したLupus腸炎の1例

演者 小山 秀和(市立伊丹病院 消化器内科)
共同演者 樫原 優子(市立伊丹病院 消化器内科), 大内 祥平(市立伊丹病院 消化器内科), 三浦 由雄(市立伊丹病院 消化器内科), 山口 典高(市立伊丹病院 消化器内科), 明田 寛史(市立伊丹病院 消化器内科), 荻山 秀治(市立伊丹病院 消化器内科), 堀木 優志(市立伊丹病院 消化器内科), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院 消化器内科), 佐治 雪子(市立伊丹病院 消化器内科), 村山 洋子(市立伊丹病院 消化器内科), 筒井 秀作(市立伊丹病院 消化器内科)
抄録 【タイトル】自然軽快を繰り返し診断に難渋したLupus腸炎の1例【症例】20歳代女性【主訴】腹痛、嘔吐、下痢【既往歴】橋本病【家族歴】特になし【現病歴】201X年12月から半年の間に、腹痛、嘔吐、下痢のため当院へ3回入院した。腹部CTで上行結腸・回腸を中心に壁肥厚を認めるものの、上部・下部消化管内視鏡検査や便培養などで確定診断に至らず、2~3日の経過観察で症状が軽快したため退院となっていた。初回入院から約1年後、腹痛、下痢、嘔吐と腹部膨満感を主訴に4回目の入院となった。入院時の身体所見では腹部は膨満し、左側腹部に著明な圧痛を認めたが、腹膜刺激症状、筋性防御は認めなかった。血液検査所見では白血球数の減少、血沈の上昇、抗核抗体陽性、抗Sm抗体陽性、抗DNA抗体陽性、補体価の低下を認めた。腹部造影CTではトライツ靭帯近傍から上行結腸まで連続した腸管壁の肥厚、多量の腹水を認めた。腹水は滲出性で抗核抗体陽性であった。ACR 1997年SLE診断基準では顔面頬部紅斑、漿膜炎、白血球減少症、抗核抗体陽性、抗Sm抗体陽性の5項目が該当しSLEによるLupus腸炎と診断した。疾患活動性はSLEDAIで10点、中等度であった。診断後PSL(25mg/day)の内服を開始した。PSL開始後、症状や補体価は徐々に改善し、PSLは投与後23日目から漸減し31日目に退院となった。投与開始24日目に施行した腹部造影CTでは腹水、腸管の浮腫や壁肥厚は消失していた。退院後も症状の再燃はなくPSLは現在14mg/dayで継続中である。【結語】腹痛、嘔吐、下痢を繰り返す症例ではループス腸炎も念頭におき精査する必要があると考えられる。
索引用語 Lupus腸炎, 漿膜炎