セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-1:

ESDを行ったgastric carcinoma with lymphoid stromaの2例

演者 木下 雅登(神戸大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 田中 心和(神戸大学医学部附属病院 消化器内科), 吉崎 哲也(神戸大学医学部附属病院 消化器内科), 河原 史明(神戸大学医学部附属病院 消化器内科), 石田 司(神戸大学医学部附属病院 消化器内科), 森田 圭紀(神戸大学医学部附属病院 消化器内科), 豊永 高史(神戸大学医学部附属病院 消化器内科), 東 健(神戸大学医学部附属病院 消化器内科)
抄録 [症例1] 54歳男性、職場健診の胃透視検査で粘膜不整を指摘され上部消化管内視鏡検査施行。胃体中部小弯に1mm大の頂部に陥凹を伴う粘膜下腫瘍様の隆起性病変を指摘された。生検4か所行われたがGroup2で悪性除外出来ず紹介となった。NBI拡大観察では頂部の陥凹部に不整な微小血管を認めたがほとんどは正常上皮に覆われていた。EUSでは第2層を中心に低エコー腫瘤認め、第3層は腫瘤の下を裏打ちしていた。陥凹部ボーリング生検を施行したところGroup5の診断であったが組織型は不明であった。Total biopsy目的で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行ったところ病理結果はgastric carcinoma with lymphoid stroma (GCLS)の診断で、SM2,ly(-),v(-)で粘膜下層へ5500μmの浸潤を認めた。追加切除術が必要と判断し当院食道胃腸外科へ紹介、腹腔鏡下幽門側切除術・Roux-Y再建術となった。術後当院外科へ定期受診しているが再発なく経過良好である。[症例2] 77歳女性、スクリーニングの上部消化管内視鏡検査で胃体下部後壁に1mm大のIIa+IIcの病変を指摘され、生検でGroup4の診断で紹介となった。陥凹部に不整な微小血管を認め悪性が強く疑われたが、明らかな粘膜下腫瘍様の所見は認めなかった。深達度はMと診断し、ESDの適応病変と考えESD施行した。病理結果はGCLSでSM2,ly(-),v(-)であった。粘膜下層へ1700μmの浸潤を認めたため今後追加切除術を考慮している。[考察]GCLSは胃体上中部に好発し、粘膜下腫瘍の形態を示すのが特徴である。1例目はその典型例であったが2例目は非典型例であった。細胞異型が比較的軽度である場合が多く術前の生検で癌の確定診断が難しい場合が多い。1例目はボーリング生検を行うことで癌の診断に至った。GSLSはリンパ節転移の頻度が少なく、比較的予後が良好との報告があるが、GSLSでESDの適応が拡大されるかは十分に検討されていない。早期のGSLSの予後を中心に文献的考察を行ない報告する。
索引用語 ESD, lymphoid stroma