セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y8-3:

総胆管と十二指腸へ穿破した膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)の一例

演者 田上 光治郎(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター)
共同演者 浅井 哲(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 赤峰 瑛介(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 藤本 直己(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 佐々 成太郎(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 廣岡 紀文(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 城田 哲哉(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 森 琢児(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター), 小川 稔(社会医療法人 きつこう会 多根総合病院 消化器センター)
抄録 症例は91歳女性。平成25年2月中旬に38度の発熱があり、当院救急搬送となった。来院時、右上腹部に圧痛を認め、血液検査で肝胆道系酵素と炎症反応の上昇を認め、腹部CTを施行すると胆嚢の腫大、総胆管の拡張、さらに主膵管の拡張と十二指腸水平脚から膵頭部に境界不明瞭な腫瘤を認めた。膵腫瘍に伴う胆管閉塞、胆管炎・胆嚢炎の疑いで同日緊急入院し、保存的に治療を開始した。腹部US・腹部MRIでは膵腫瘍は充実性と嚢胞性部分が混在しており、膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)を疑った。胆管炎・胆嚢炎は改善傾向となったものの、炎症と肝胆道系酵素の正常化がみられないため、第7病日に診断と治療をかねてERCPを施行した。十二指腸内に多量の粘液が存在し、乳頭開口部は粘液により著明に拡張していた。さらに乳頭の数cm肛門側には絨毛状の突起した隆起と同部からの粘液排出を認めた。胆管造影では総胆管下部に不整な約2cmのdefectを認め、肝側胆管は拡張していた。リトリーバルバルーンにより胆管をsweepingすると粘液の排出を認め、その後の胆管造影ではdefectの消失を認めた。十二指腸隆起性病変からの生検の結果は、well differentiated papillary-mucinous adenocartinoma, consistent with IPMC.であり、臨床所見と矛盾しない結果と考えた。本人・ご家族に手術などの積極的治療の適応外であることを説明し、納得の上、緩和医療を行うこととなった。その後、腫瘍に伴うDICを発症され、3月初旬に永眠された。総胆管と十二指腸へ穿破したIPMCの一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 IPMC, 十二指腸穿破