セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 39:慢性膵炎に合併した膵液瘻に対して,ソマトスタチン誘導体が有効であった1例 |
演者 | 神戸 大介(奈良県立奈良病院 消化器内科) |
共同演者 | 中谷 敏也(奈良県立奈良病院 消化器内科), 藤永 幸久(奈良県立奈良病院 消化器内科), 才川 宗一郎(奈良県立奈良病院 消化器内科), 澤田 保彦(奈良県立奈良病院 消化器内科), 下里 直隆(奈良県立奈良病院 消化器内科), 永松 晋作(奈良県立奈良病院 消化器内科), 松尾 英城(奈良県立奈良病院 消化器内科), 菊池 英亮(奈良県立奈良病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】64歳男性。2007年に早期胃癌に対して幽門側胃切除術の既往があるが、術後再発なく経過していた。常習飲酒家で、2011年8月は特にアルコール多飲が目立ち、腹部膨満感を自覚していた。この頃より徐々に食欲低下、心窩部痛が出現し、同年8月下旬に当院を受診した。来院時、腹部は膨満し心窩部に軽度圧痛を認めた。血液検査では炎症反応(WBC 6300/μl, CRP 7.86mg/dl)、膵酵素上昇(AMY 1055IU/l)、低蛋白血症(TP 5.5g/dl, Alb 2.5g/dl)を認め、同日入院となった。【入院後経過】各種画像検査で膵実質内には小石灰化を散見し慢性膵炎に矛盾しない所見であった。多量腹水も認めたが、肝硬変や悪性疾患を疑う所見はなく、腹水中AMY 18051IU/lと高値であり膵性腹水が疑われた。絶食とし、高カロリー輸液による全身状態改善を図った。適宜、腹腔ドレナージを行なったが、腹水量や腹水中・血中AMY値の改善はみられなかった。そこで、診断および膵管ステント留置目的で第40病日に、内視鏡的膵管造影を施行した。膵体部で腹腔内への造影剤の流出像が確認され、内膵液瘻を合併した慢性膵炎と診断した。膵管ステント留置を試みるも、ガイドワイヤーが瘻孔を通って腹腔内へ誘導されるため、困難であり断念した。そこで、膵液分泌抑制目的でソマトスタチン誘導体を投与したところ、腹水中・血中AMY値は速やかに改善した。内視鏡手技により膿性腹水を伴う感染性腹膜炎を併発し持続的腹水ドレナージを要したが、保存的加療により治癒し最終的に腹水は消失した。以後、約2年が経過するが再燃なく経過している。【結語】膵液瘻による膵性腹水を伴った慢性膵炎を経験した。慢性膵炎に合併した膵液瘻に対し経乳頭的アプローチが困難な場合には、ソマトスタチン誘導体の投与は非侵襲的な治療でもあり試みる価値はあると考えられた。 |
索引用語 | 膵液瘻, ソマトスタチン |