セッション情報 パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」

タイトル P2-01:

当院における胃癌のHER2発現頻度および抗がん剤治療に与える影響に関する検討

演者 佐竹 悠良(独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科)
共同演者 古武 剛(独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科), 藤田 幹夫(独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科), 猪熊 哲朗(独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 辻 晃仁(独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科)
抄録 背景:ToGA試験の結果より、HER2陽性進行再発胃癌症例に対する化学療法はTrastuzumab(以下、Tmab)併用療法が第一選択として認識されており、2011年3月に本邦においてもHER2陽性胃癌へのTmab使用が認められ、投与症例も増加してきている。胃癌におけるHER2発現に関して、腫瘍内のheterogeneityや人種間差、検体の処理の施設間差などにより、その陽性率や強陽性の割合に関して多少のバラツキがあるが、ASCO-GI2013にて本邦の切除不能・進行再発胃癌患者におけるHER2陽性率/強陽性率は21.1/15.5%と報告された(JFMC44-1101)。今回我々は当施設においてHER2発現を測定した進行再発胃癌患者に関して、そのHER2発現状況および化学療法選択に与える影響に関して後方視的に検討したので報告する。方法:2011年4月から2013年1月までの間に当院でHER2発現を検査した進行再発胃癌患者連続92例を対象とした。ToGA試験に準拠し、FISH陽性またはIHC3+をHER2陽性とし、IHC3+またはIHC2+かつFISH陽性をHER2強陽性とした。Tmab投与はHER2強陽性を適応としている。結果:男性61例、女性31例、年齢中央値は66歳であった。腫瘍部位は食道胃接合部/上部/中部/下部がそれぞれ2/17/41/32例であり、主要組織型はintestinal type/diffuse type/その他がそれぞれ42/49/1例であった。HER2陽性例は17例(18.5%)であり、うち強陽性例は14例(15.2%)であった。化学療法を施行した症例は64例であり、1次治療はTmab併用療法/S-1+CDDP併用療法/S-1単独療法/その他がそれぞれ3/29/23/9例であり、2次治療移行率は44%であった。HER2強陽性例14例のうち、Tmabを最終的に投与された症例は6例であった。観察期間中央値397日で、HER2強陽性群とそれ以外の群ではmedian-PFS(162 vs 210 days)、median-OS(406 vs 488 days)であり、いずれも有意差を認めなかった。結語:当院における進行再発胃癌のHER2陽性/強陽性割合はJFMC44-1101と同程度であった。HER2強陽性胃癌に対するTmab導入割合は決して十分とは言えず、今後の課題と考えられた。
索引用語 trastuzumab, 胃癌