セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-5:

診断に苦慮した結核性腹膜炎の1例

演者 武居 晃平(赤穂市民病院 消化器科)
共同演者 松本 善秀(京都大学 医学部 医学研究科 大学院), 青山 直樹(赤穂市民病院 消化器科), 松浦 敬憲(兵庫県立加古川医療センター), 三井 康裕(赤穂市民病院 消化器科), 勝谷 誠(赤穂市民病院 消化器科), 高尾 雄二郎(赤穂市民病院 消化器科), 小野 成樹(赤穂市民病院 消化器科)
抄録 【症例】75歳女性【主訴】発熱、食欲不振【現病歴】来院1週間前より38℃の発熱と食欲低下あり。近医を受診し胸腹部CT検査で胸水・腹水の貯留を認め、精査加療目的で当院紹介となった。【既往歴】C型肝炎、胆石症【入院時現症】貧血、黄疸を認めず。腹部は緊満し波動感を認めた。リンパ節は触知しなかった。【血液検査所見】AST85U/L、ALT35U/Lと軽度の肝障害とWBC7700、CRP1.58と炎症所見を認めた。【画像所見】胸腹部CTでは、胸水、腹水の大量貯留と上腹部脂肪織の濃度上昇が見られた。肝脾腫は認めず。【入院時胸腹水検査所見】胸水は黄色透明、比重は1.032、リバルタ陽性と滲出性で、細胞診、細菌培養検査、結核菌PCRは全て陰性であった。腹水も同様の所見であった。【入院後経過】高熱が続くため抗生剤(SBT/CPZ、MEPM)投与を行うも解熱しなかった。CA-125 1209.9U/mLと高値であり癌性腹膜炎を疑うも腫瘍は見つからなかった。血中IL2レセプター4620U/μL、フェリチン1165.7ng/mL、HTLV-1-PA 16384倍と高値、また胸腹水中リンパ球の表面抗原解析ではT細胞系が優位でありATLあるいは悪性リンパ腫も疑われたが確定診断には至らなかった。胸水中ADAが121.2IU/Lと高値であったことから結核は否定しきれず、再度約1Lの胸腹水を用いて結核菌PCRを行ったところ陽性であり結核性胸腹膜炎と診断した。RFP、LVFX、SMの3剤併用療法で治療を開始し、全身状態に合わせて、適宜薬剤の追加や中止を行った。しかし、食欲不振による栄養状態の悪化、繰り返すCVC感染により、治療の途中で永眠された。診断に苦慮した結核性腹膜炎の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 結核性胸腹膜炎, 不明熱