セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F1-1:

EUS-FNAで診断し得た乳癌食道転移の1例

演者 松川 浩之(赤穂市民病院)
共同演者 松本 善秀(京都大学医学部医学研究科), 青山 直樹(赤穂市民病院), 松浦 敬憲(兵庫県立加古川医療センター), 三井 康裕(赤穂市民病院), 勝谷 誠(赤穂市民病院), 高尾 雄二郎(赤穂市民病院), 小野 成樹(赤穂市民病院)
抄録 症例は84歳、女性。異時性両側乳癌で当院外科を通院中であった。治療歴は平成11年右乳癌に対して手術+化学療法+ホルモン療法(Bt+Ax classicalCEF施行後、タモキシフェン5年内服)、平成17年左乳癌に対して手術療法+ホルモン療法(Bt+Ax後アナストロゾール内服)、平成23年右乳癌術後創部再発に対して局所切除+ホルモン療法(切除後レトロゾール内服)を施行した。平成24年3月肺塞栓を来たし、治療後レトロゾールは中止となっていた。今回、平成24年9月に嚥下困難・呼吸困難を自覚し誤嚥性肺炎の診断で当院入院となった。入院中のCT検査で中下部食道の全周性壁肥厚を認め精査加療目的に当科紹介となった。精査の上部消化管内視鏡検査では中下部食道の全周性狭窄を認めたが、粘膜変化は見られなかった。透視検査では中下部食道に70mm続く狭窄を呈すが、粘膜面においては正常レリーフ像が保たれていた。繰り返し行った粘膜生検では悪性腫瘍を疑う病理所見は得られなかった。そこでEUS-FNAを施行したところ、既往の乳癌と同じadenocarcinoma(ER+,PgR+)の像を認め、乳癌食道転移と診断した。本邦で乳癌食道転移は自験例を含め32例の報告のみである。その内、粘膜下に病変の首座が存在する症例が大部分を占めており、粘膜生検で確定診断に至った症例は16例しかない。EUS-FNAを用いて確定診断された症例は本例を含め2例しかなく非常に稀であり、壁内転移という転移形式をとりやすい乳癌食道転移の診断にEUS-FNAが有用と考えられたため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 EUS-FNA, 乳癌食道転移