セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y8-7:

当院で経験した自己免疫性疾患を合併した潰瘍性大腸炎4例の検討

演者 渡部 晃一(明石医療センター)
共同演者 藤本 和世(明石医療センター), 佐々木 一就(明石医療センター), 林 賢一(明石医療センター), 花房  正雄(明石医療センター), 吉田 志栄(明石医療センター), 安東 直之(明石医療センター), 中島 卓利(明石医療センター), 澤井 繁明(明石医療センター)
抄録 明石医療センター○渡部晃一、藤本和世、佐々木一就、林賢一、花房正雄、吉田志栄、安東直之、中島卓利、澤井繁明【はじめに】潰瘍性大腸炎(UC)はしばしば腸管外合併症を認める。今回当院で経験した腸管外自己免疫疾患合併例を検討した。【症例1】50歳代男性。2007年4月より近医にてUC(全結腸型)で加療されていた。メサラジン内服で寛解後に、増悪と貧血の進行認めたため当科紹介された。溶血所見、直接クームス試験陽性等の検査結果より温式AIHAと診断した。UC寛解目的に顆粒球除去療法施行し、AIHAの治療としてPSL 60mg/dayで内服開始したところUCは寛解し、溶血性貧血も改善傾向となったため、PSL30mg/dayまで漸減し退院となった。以後外来にて治療継続中である。【症例2】20歳代男性。2011年8月よりUC(全結腸型)で加療中に、発熱、心窩部痛を主訴に来院した。UCの増悪に加えて、膵酵素の上昇、腹部造影CTで膵のびまん性腫大認めたため、2型自己免疫性膵炎(AIP type2)と診断した。UCとAIPの治療としてPSL 50mg/dayで内服開始したところ、膵炎は改善、潰瘍性大腸炎は寛解が得られ、PSL 30mg/dayまで漸減し退院となった。【症例3】30歳代女性。2004年1月よりUC(直腸炎型)で加療されていたが、出産後より増悪認め、上腹部痛を主訴に近医を受診した。膵酵素上昇認め、CTでAIPが疑われたため当科紹介され入院となった。膵のびまん性腫大認め、AIPの治療としてPSL 30mg/dayで内服開始され、改善したため退院となった。【症例4】60歳代男性。1996年より関節リウマチ(RA)で加療中に、UC(左結腸型)を発症した。メサラジンで寛解得られ、以後外来で加療継続中である。【考察】RAやAIPに比べると、AIHAの合併例の報告は非常に稀である。当院で経験した4例の内3例は発症時期が潰瘍性大腸炎で先行し、また活動期に発症しており、他の腸管外合併症と同様に潰瘍性大腸炎の病勢と関連性があることが示唆された。活動期の潰瘍性大腸炎においては、自己免疫性疾患の合併も考慮に入れて経過観察していく必要がある。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 自己免疫性疾患