セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

総胆管結石症に対する治療法の選択と長期成績 (EST:内視鏡的治療 vs LCBDE:腹腔鏡下手術)

タイトル 外W15-2:

総胆管結石症に対する腹腔鏡下手術

演者 徳村 弘実(東北労災病院・外科)
共同演者 松村 直樹(東北労災病院・外科), 安本 明浩(東北労災病院・外科)
抄録 総胆管結石症に対する腹腔鏡下手術について、内視鏡治療との比較しながらメリットと現状を述べ、手技と成績を報告する。本手術は専門的施設から良好な成績が多数報告され、複数の比較試験でも内視鏡治療プラス腹腔鏡下胆嚢摘出術の2期的併用治療より優れていることが報告されている。また、十二指腸乳頭機能温存のため結石再発が少ないと考えられる。しかし、総胆管治療の環境や手術難度から一般には定着しておらず、今後さらなる普及が期待される。筆者は、本手術を経胆嚢管法が205例、胆管切開法が300例(Cチューブ177例、Tチューブ75例、一期的縫合31例、ENBDまたはPTBD16例、胆管十二指腸吻合1例)を行った。開腹移行は1.9%で、合併症、遺残結石は少なく良好な成績を得た。結石再発は、ビリルビンカルシウム石で6%で、コレステロール石ではなかった。以上から本手術は、経胆嚢管法と胆管切開法を使い分けることで、初回手術例のほとんどの症例に可能で良好な成績が得られ、長期成績も内視鏡治療と比較して良好であると推察された。問題点としては、手技が多種で、煩雑で難しいことが上げられるが、低侵襲手術によって一期的に胆管結石の治療が完結し乳頭を温存できる利点は大きいと考えられた。本手術の習得には、術者の熟練と機器の整備が必須条件である。習熟には、50例以上腹腔鏡下胆嚢摘出術の経験および術中胆道造影と縫合技術の習得後に総胆管結石症30例以上の経験を積み重ねれば可能となろう。多くの外科医が本手術をマスターし臨床に広く定着させることを期待したい。
索引用語 総胆管結石症, 腹腔鏡下手術