セッション情報 シンポジウム2 「原因不明消化管出血の診断と治療の最前線」

タイトル S2-09:

当院におけるOGIB症例の検討

演者 高山 政樹(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 松井 繁長(近畿大学 医学部 消化器内科), 樫田 博史(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
抄録 【背景・目的】OGIBは全消化管出血の約5%にみられるとされる。カプセル内視鏡(CE)やシングルバルーン小腸内視鏡検査(SBE)によって全小腸の観察が可能となり、OGIBの診療にも大きな力を発揮している。そこで今回我々は当院でOGIBと診断されCEもしくはSBEを行った症例について臨床的検討を行った。【方法】対象は2005年7月から2013年1月において当院でOGIBと診断されSBEを施行された101症例、2012年8月から2013年4月において当院でOGIBと診断されCEを施行された20症例についてretrospectiveに臨床的検討を行った。【成績】[SBE]男性62例、女性39例であり平均年齢は68.6歳。(21~88歳)基礎疾患(重複あり)については心疾患:35例 脳梗塞、血管疾患:9例 腎不全:12例 肝疾患:10例 血液疾患:7例 糖尿病:12例 整形疾患:2例 その他:5例 基礎疾患なし:18例であった。内服薬については抗血栓薬40例、NSAIDs6例であった。検出された病変・部位についてはNSAIDs起因性小腸粘膜障害:24例(十二指腸上行部:1例 空腸:9例 回腸:14例) 小腸クローン:1例(回腸) Angioectasia:16例(空腸:7例 回腸:9例) 小腸憩室(メッケル憩室):1例(回腸) SMT(血管腫疑い) :2例(空腸:1例 回腸:1例) 空腸癌:1例であった。小腸血管性病変の内止血処置を要したのは12/16症例(APC:7例 クリッピング:5例)であった。[CE]男性10例、女性10例であり平均年齢は67.8歳。(42~87歳)基礎疾患(重複あり)については心疾患、腎不全が計10例で大部分を占めていた。内服薬については抗血栓薬7例、NSAIDs2例であった。検出された病変・部位についてはNSAIDs起因性小腸粘膜障害:2例(回腸) Angioectasia:4例(空腸:2例 回腸:2例) ポリープ:4例(回腸)であった。今回CEで検出された病変の内、angioectasia1例、ポリープ1例においてそれぞれSBEにてAPC、EMRが施行された。またカプセルの滞留は全例認めなかった。【結論】今回の検討にて症例数は少ないがCEによる病変検出率は50%と高く、侵襲も少ないことからOGIBと診断された場合にはまずCEを行い、病変の質的診断を行った上で必要に応じてSBEによる診断・治療を行うことが良いと思われた。
索引用語 OGIB, 診断