セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y7-01:

Roux-en-Y再建後の肝門部結石に対してダブルバルーン内視鏡を用いて砕石を行った1例

演者 有村 眸(関西電力病院 消化器内科)
共同演者 北村 陽介(関西電力病院 消化器内科), 南 有沙(関西電力病院 消化器内科), 野口 麻希子(関西電力病院 消化器内科), 東 恵史朗(関西電力病院 消化器内科), 藤原 幹夫(関西電力病院 消化器内科), 池田 一毅(関西電力病院 消化器内科), 魚瀬 優(関西電力病院 消化器内科), 染田 仁(関西電力病院 消化器内科), 中村 武史(関西電力病院 消化器内科)
抄録 [背景]2001年ダブルバルーン内視鏡(以下DBE)が登場以降、従来は内視鏡的アプローチが困難であったPD術後症例やRoux-en-Y再建症例に対して、ERCPやその関連の検査処置(以下DBE-ERCP)が行われている.しかしながら技術的に困難な場合もあり、いまだ標準的な手技として確立されているとまでは言えない.今回我々は吻合部狭窄により肝門部に生じた結石に対してDBEを用いて治療した症例を経験したので報告する.[症例]72歳男性、2008年3月膵頭部の分枝型IPMNに対し膵頭十二指腸切除術(以下PD)(Roux-en-Y再建)を施行され、術後病理診断はintraductal papillary mucinous adenoma with moderate atypiaであり、再発なく経過していた.2013年2月末頃より38℃の発熱あり外来受診.採血にてWBC:4700、CRP:1.91、AST:134、ALT:231 と炎症反応、肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部造影CT・MRCPを施行したところ左右肝管合流部直下の肝門部胆管に径10mm程度の結石を認めた.その為4月12日DBE(EN-450T5/W)を用いて空腸遠位まで挿入、抜去しながらY脚を同定しY脚盲端近傍に胆管空腸吻合部を確認し得た.同部位にcannulationを行い胆管造影したところ術前に指摘した肝門部結石を認め径10mmまで吻合部に対しバルーン拡張を行いゼメックスMLを用いて砕石・採石バルーンにて結石除石を行った.[考察] Roux-Y再建後症例に対するDBE-ERCPは経皮的治療や外科的手術と比較して侵襲が少なく、入院期間も大幅な短縮が可能になるという利点がある.一方高度癒着の症例における挿入時の穿孔、バルーン拡張の際の穿孔などが報告されている.しかし膵炎・出血・穿孔などの偶発症は多施設での集計によると0.9~1.7%程度とされておりDBE-ERCPはPD後の結石治療において有用な治療法のひとつであると考えられる.
索引用語 ダブルバルーン内視鏡, 結石