セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-7:

胃原発腺扁平上皮癌の1例

演者 原 美紀(北摂総合病院 消化器内科)
共同演者 中 悠(北摂総合病院 消化器内科), 西川 知宏(北摂総合病院 消化器内科), 原 あずさ(北摂総合病院 消化器内科), 吉田 紘子(北摂総合病院 消化器内科), 西谷 仁(北摂総合病院 消化器内科), 佐々木 有一(北摂総合病院 消化器内科), 佐野村 誠(北摂総合病院 消化器内科), 長田 憲和(北摂総合病院 病理診断科), 森川 浩志(森川クリニック), 樋口 和秀(大阪医科大学付属病院 消化器内科)
抄録 【症例】69歳男性【主訴】食欲不振、嘔吐【既往歴】大腸癌術後(2005年)【現症】2012年10月末より食欲不振、嘔吐が出現した。近医にて施行した腹部単純CT検査にて胃前庭部の壁肥厚、口側腸管の拡張を認め、精査加療目的に10月31日当院紹介受診となった。血液検査ではHb 10.7g/dlと軽度の貧血を認め、腫瘍マーカーはCEA 12.90ng/ml、CA19-9 114.00U/ml と上昇を認めた。上部消化管内視鏡検査では幽門部に全周性の3型胃癌を認め、スコープの通過は困難であった。同部位の生検にてtub2、porを認め、胃癌と確定診断した。転移検索として腹部造影CT検査を施行し、T4aN2M0、cStageIIIBの術前診断の元、当院消化器外科にて11月7日幽門側胃切除(R-Y再建)を施行した。術後、切除標本より腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)と診断し、術中に肝転移(H1)を認めた為、T3N2M1(HEP)、pStageIVとした。術後、化学療法としてS-1単独療法を開始し、現在約半年が経過している。【結語】胃の腺扁平上皮癌は胃癌取扱い規約では悪性腫瘍上皮腫瘍の特殊型に分類される。腺癌成分と扁平上皮癌成分が1つの病巣内に共存しており、病巣の1/4以上に扁平上皮癌組織の成分があることが必要とされている。頻度としては胃癌全体の0.5%以下と稀な組織型であるが、診断される症例のほとんどは進行癌として発見される。また、リンパ節転移をきたす頻度が高く予後不良な例が多いといわれている。胃腺扁平上皮癌の発生の由来は、(1)異所性扁平上皮あるいは何らかの原因で扁平上皮化生をおこした胃粘膜が癌化したとする説、(2)多方向の分布能を有する未分化基底細胞の癌化によるとする説、(3)胃の腺癌が扁平上皮化生をおこしたとする説などがある。胃腺癌の扁平上皮化生を支持する意見が多いが、この説から考えると、進行癌として発見される症例が多いことも裏付けられる。今回、我々は胃癌の中で比較的稀な胃腺扁平上皮癌の1例を経験したので、若干の文献的考察加え報告する。
索引用語 胃癌, 腺扁平上皮癌