セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y4-6:

EUS-FNAが診断に有用であった直腸原発びまん性大細胞型Bリンパ腫の一例

演者 川路 祐輝(和歌山県立医科大学 第二内科)
共同演者 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学 第二内科), 加藤 順(和歌山県立医科大学 第二内科), 玉井 秀幸(和歌山県立医科大学 第二内科), 井口 幹崇(和歌山県立医科大学 第二内科), 前北 隆雄(和歌山県立医科大学 第二内科), 上田 和樹(和歌山県立医科大学 第二内科), 山下 泰伸(和歌山県立医科大学 第二内科), 糸永 昌弘(和歌山県立医科大学 第二内科), 田村 崇(和歌山県立医科大学 第二内科)
抄録 【はじめに】EUS-FNAは消化管粘膜下腫瘍の診断に有用な検査であり、近年では大腸粘膜下腫瘍に対しても、EUS‐FNAにより診断される症例が報告されている。今回我々は、診断に苦慮し、EUS-FNAで診断し得た大腸粘膜下腫瘍の症例を経験したので報告する。【症例】62歳男性。2011年10月に腰痛を自覚し、近医整形外科を受診。MRI検査で腰椎L4、第8肋骨に転移性骨腫瘍を疑われ、2012年1月に原発巣の精査加療目的に近医内科に紹介受診となった。胸腹部造影CT検査を施行され、上行結腸周囲の脂肪織濃度の上昇を認めたことより、癌性腹膜炎の存在が疑われたが、原発巣を示唆する所見は認められなかった。原発巣精査目的で上下部消化管内視鏡検査を行ったところ、直腸下部に多発性の粘膜下腫瘍を認められたため、EUS-FNAによる組織診断目的で2012年1月に当科紹介となった。EUSでは、直腸下部の粘膜下層を主座とする22mm大の低エコーを呈する腫瘤性病変を認め、一部で漿膜を超えて腸管外に浸潤していた。また、骨盤腔内には中等量の腹水も認められた。同病変に対して、EUS-FNAを施行。病理組織では免疫染色でCD79αとCD20が陽性、CD3、CD138、CD56が陰性である異型リンパ球のmonotonousなびまん性増殖が認められたため、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(Lugano分類stageIV)と診断した。R-CHOP療法1コース行い、治療開始より63日後には腫瘍の縮小は認めたため、退院となった。【考察】消化管悪性リンパ腫の中で、大腸を原発とする悪性リンパ腫の頻度は少なく、また粘膜下腫瘍の形態をとるものも少ないため、診断も困難であると考えられる。EUS-FNAが直腸原発びまん性大細胞型Bリンパ腫の診断に有用であった症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 EUS-FNA, 直腸原発びまん性大細胞型Bリンパ腫