セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y5-2:

慢性活動性EBウイルス感染症の1例

演者 大村 亜紀奈(天理よろづ相談所病院 消化器内科)
共同演者 沖永 聡(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 吉川 貴章(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 美馬 淳志(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 岡部 誠(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 森澤 利之(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 塩 せいじ(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 宮島 真治(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 木田 肇(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 岡野 明浩(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 久須美 房子(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 大花 正也(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 鍋島 紀滋(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 飯岡 大(天理よろづ相談所病院 血液内科), 大野 仁嗣(天理よろづ相談所病院 血液内科), 小橋 陽一郎(天理よろづ相談所病院 医学研究所病理)
抄録 【症例】29歳女性。主訴は発熱、倦怠感。機会飲酒程度で喫煙歴はなし。既往歴は4歳時に腸疾患、23歳時にてんかん。職業は看護助手。アレルギー歴はない。渡航歴は最近3ヵ月はなし。最近5年間は特定の交際相手はいない。内服薬はデパケン®のみでサプリメントは内服していない。2012年10月14日より39度台の発熱があり翌日には40度に上昇し、肝酵素上昇も認めたため前医でウルソ®内服開始され経過観察入院となった。入院後3日間は40度以上の発熱が続いたが以降は解熱したため退院したが外来フォロー中、肝酵素が上昇し続けたため精査加療目的にて当科紹介入院となった。昨年に肝酵素が3桁まで上昇しデパケン®を中止しウルソ®処方にて軽快したエピソードがある。最近、虫刺痕がかなり腫れるが潰瘍や水疱を来したことはない。【現症】意識 清明 体温 36.7℃ 血圧101/66mmHg 頭頸部・胸部 異常なし 腹部 肝腫大(-)脾腫(+) 四肢 異常なし 表在リンパ節触知せず【入院後経過】血液、画像検査の結果、肝炎ウイルスや自己免疫疾患は否定的でありEBウイルス抗体価は既感染パターンであった。(EBVCA-IgG160, EBVCA-IgM <10, EA-DR-IgG20, EA-DR-IgA10, EBNA20)。末梢血液に大顆粒リンパ球が多数存在することからフローサイトメトリーを依頼した。末梢血にT/NK細胞の増殖を認め慢性活動性EBウイルス感染症が疑われたためさらにEBV-DNAとサザンブロットを依頼したところDNA量は3.8×10*4copy/μgDNAと高値でありサザンブロットでもバンドが観察された。骨髄生検、肝生検も施行した。慢性活動性EBウイルス感染症として矛盾しない結果であり、高悪性度ではないがT細胞が腫瘍化している状態であり血液内科に転科した。この間、発熱は38度台あったのが自然に軽快し、肝酵素はALT1000台から800台に下がり止まった。発熱なく本人の希望もあり退院し外来フォローされている。現在は無治療で肝酵素は正常化し発熱もなく経過している。【考察】慢性活動性EBウイルス感染症の1例を経験した。原因不明の肝障害を考える際には慢性活動性EBウイルス感染症も鑑別にあげるべきである。
索引用語 EBウイルス, 肝炎