セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y7-06:

急性膵炎を繰り返したのちに自然消失した膵動静脈奇形の1例

演者 山本 梨津子(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 三浦  翔(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 高田 美穂(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 田中 俊多(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 竹中 春香(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 西尾 昭宏(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 吉田 竜太郎(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 印藤 直彦(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 佐々木 翔(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 末吉 伸行(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 矢野 雄飛(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 山岡 優子(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 廣吉 康秀(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 藤田 光一(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 松木 信之(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 阿南 隆洋(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 渡辺 明彦(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 菅原 淳(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科), 向井 秀一(淀川キリスト教病院 消化器センター 消化器内科)
抄録 症例は40歳代男性。既往歴は高血圧症と胃潰瘍。心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した。血液生化学検査では膵酵素の上昇は認めなかったが、CTで膵尾部周囲の脂肪織濃度の上昇を認め、軽症急性膵炎と診断した。MRCPでは膵尾部が腫大し、周囲との境界が不明瞭であった。膵ダイナミックCT、腹部血管造影検査で、膵尾部に動脈相で濃染される拡張し蛇行した血管構造と網目状血管増生を認め、脾静脈は早期濃染を呈しており、膵動静脈奇形(膵AVM)と診断した。膵炎の加療を行い、炎症は速やかに鎮静化した。EUSでは同部位に瘤状に拡張しモザイク状の血流を有する血管構造を認めた。比較的早期に鎮静化したため退院としたが、退院後すぐに急性膵炎を2回繰り返した。飲酒歴や脂質異常症はなく、IgG4も異常なく、CTやMRCPでは膵内の明らかな腫瘍性病変は認められなかった。以上のことから膵AVMが膵炎発症の原因となっている可能性を考え、外科的切除を行う方針とした。その後の精査にて頭部MRIで脳動脈瘤を認めたため、脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術を先行した。さらに急性心筋梗塞を発症し、経皮的冠動脈形成術を施行した。外科的切除の予定であったが、最初の指摘から6か月後の膵ダイナミックCTで膵AVMの消失を認めた。よって手術は施行せず経過観察を行っているが現在無症状である。膵AVMは国内で70数例の報告があるに過ぎない稀な疾患である。膵AVMの約10%で急性膵炎を合併したとの報告があるが、膵AVMにより膵炎が引き起こされる場合と、膵炎により後天的に膵AVMが惹起される場合がありその鑑別は困難とされている。今回我々は、急性膵炎を反復した膵AVMの1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 急性膵炎, 膵動静脈奇形