セッション情報 一般演題

タイトル 40:

急性膵炎後の膵液瘻に内視鏡的膵管ステント留置術(EPS)が有用であった一例

演者 山本 守敏(NTT西日本大阪病院 消化器内科)
共同演者 楠本 侑弘(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 伊藤 麻里(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 太田 高志(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 巽 信之(NTT西日本大阪病院 消化器内科), 金子 晃(NTT西日本大阪病院 消化器内科)
抄録 53歳女性。全身性エリテマトーデス(SLE)、気管支喘息にて他院通院加療中であった。平成24年10月、発熱と腹部全体の圧痛を認めたため腹部CT検査を施行。急性膵炎と膵仮性嚢胞の診断を受けた。入院の上、保存的治療行うも膵仮性嚢胞の増大を認めたため、11月に経皮的ドレナージ術が施行された。一時的に嚢胞の縮小は認めたが、6日後にドレーンの逸脱と嚢胞の再燃を認めたため、外科にて開腹ドレナージ術が施行された。嚢胞は消失し膵炎症状は軽快。血清アミラーゼ値も低下を認めたがドレーン排液中のアミラーゼ値が持続高値を認めたことから膵液瘻の存在が疑われた。急性膵炎・膵液瘻の発症にSLEの存在が関与すると考えられ、SLEの専門的治療も必要との判断で平成25年3月に当院免疫・アレルギー内科に紹介・転院となった。転院後もドレーンからの排液は持続。排液中のアミラーゼ値も高値であった。膵液瘻の確認のため、入院13日目に内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)を施行。膵体部から膵外に造影剤の漏出を認め膵液瘻の存在が確認された。この時膵尾部主膵管は造影されず。経乳頭的に漏出部乳頭側に膵管ステント留置を行った。留置後もドレーンからの排液量に変化は認めなかったが、腹痛・背部痛は認めず。腹部CT検査上も膵性腹水の増加は認めなかった。入院27日目に再度ERCPを施行。造影剤の膵外への漏出は認めるも減少を認め、膵尾部主膵管の造影が可能であった。ガイドワイヤーは膵尾部へ誘導できなかったため瘻孔乳頭側に膵管ステントを再留置した。再留置後ドレーンからの排液が減少し、再留置7日後には消失。腹部ドレーンを抜去するも膵性腹水の増加、膵炎の再燃は認めなかった。本症例は急性膵炎による膵管破綻によって仮性膵嚢胞が形成され、嚢胞の縮小は見られたが膵管破綻が残存したことが原因と考えられた。膵管破綻による膵液瘻に対し内視鏡的膵管ステント留置術(EPS)が有用であった一例を経験したので、文献的考察を含め報告する。
索引用語 膵液瘻, 内視鏡的膵管ステント留置術