セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y8-5:

多発肝転移を伴うガストリノーマの1例

演者 松村 晋矢(京都第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器内科), 太田 崇之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院 消化器内科), 寺崎  慶(京都第一赤十字病院 消化器内科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院 消化器内科), 豊川 優季(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院 消化器内科), 川上  巧(京都第一赤十字病院 消化器内科), 山田 真也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器内科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器内科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器内科), 浦田 洋二(京都第一赤十字病院 病理診断科), 中本 裕士(京都大学 放射線診断科), 土井 隆一郎(大津赤十字病院 外科)
抄録 症例:40歳台男性.主訴:下痢.既往歴、家族歴:特記すべきことなし.現病歴:上記主訴にて近医受診し,内服処方をうけるも改善なく、食欲不振、嘔気、心窩部痛が出現したため当科紹介受診となった。腹部超音波エコー検査にて肝内に多発占拠性病変を、上部消化管内視鏡では十二指腸球部に多発する小潰瘍を認めた。肝ダイナミックCT検査にて肝病変は8cm大で近傍の腫瘤と融合し、一部嚢胞変性を呈し、富血管性であった。膵尾部には約3cmの不整形の腫瘤を認め、遅延性濃染を呈した。膵島腫瘍の多発肝転移を想定し、経皮的肝腫瘍生検を施行した。病理組織学的に転移性肝腫瘍は、両染性の細胞質と類円形の異型細胞を呈し、クロモグラニンA陽性、ガストリン陽性、ソマトスタチンレセプター陽性、MIB-1 labeling indexは1%未満であった。以上より、多発肝腫瘍は、内分泌腫瘍の肝転移と診断した。全身検索目的でFDG-PET検査を施行したが、明瞭な集積部位を認めなかった。ソマトスタチン受容体PET(68Ga-DOTA-TOC-PET/CT)を施行したところ、膵尾部腫瘍及び多発肝腫瘍に高度集積を認めた。CEA, CA19-9は正常、血清ガストリン値は4200pg/mlと異常高値を示し、膵尾部のガストリノーマ及び多発肝転移と最終診断した。頭部MRIにて下垂体に異常を認めず、頸部エコーにても副甲状腺に明らかな腫瘍病変を認めず、多発内分泌腫瘍(MEN1型)を除外した。全身状態は良好ではあるが、肝両葉への多発転移を認め、現時点での膵尾部腫瘍及び肝腫瘍に対しては外科的治療の適応はないと判断した。転移性肝腫瘍における免疫染色の特性と自覚症状を考慮し、オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤、エベロリムス、プロトンポンプ阻害剤を治療薬として選択し、現在治療を継続している。本症例について文献的考察を加えて報告する。
索引用語 ガストリノーマ, 多発肝転移