セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F1-8:急激な転帰をとった胃癌患者に発症したEdwardsiella tarda敗血症の1例 |
演者 | 池ノ内 真衣子(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科) |
共同演者 | 笹井 保孝(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 坂谷 彰彦(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 西田 直浩(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 阪本 めぐみ(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 上ノ山 直人(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 松田 高明(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 木下 和郎(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 土井 喜宣(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】60歳代男性【主訴】発熱【既往歴】平成24年9月慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下副鼻腔手術、平成24年12月左白内障に対して眼内レンズ手術【家族歴】特記事項なし【生活歴】喫煙歴20本/日×30年(49歳より禁煙)、飲酒歴1合/日×40年【現病歴】慢性腎炎で当院外来フォロー中であった平成25年2月に胃癌、遠隔リンパ節転移を指摘され、化学療法開始予定であった。3月3日頃より発熱、悪寒出現、症状の改善認めないため3月5日当院外来を受診し、精査加療目的に入院となった。【入院後経過】血液検査でCRP 28.9mg/dlと炎症反応高値を認め、CTにて左鎖骨下静脈中枢側から上大静脈にかけて広範な血栓を認めたことより、細菌感染を伴う血栓性静脈炎を疑い、ヘパリンとMEPMの投与を開始した。第3病日に第1病日に施行した血液培養からEdwardsiella tarda(以下E.tarda)が検出されたことが判明した。発熱、炎症反応の改善を認めなかったため、その後抗生剤の変更等を行ったが治療効果認めず、多臓器不全が進行し第38病日に永眠された。【考察と結語】E.tardaはヘビなどの爬虫類の腸内常在菌で、ヒトへの感染は稀であるが、感染した場合その8割は腸管に感染し、抗生剤投与なしに軽快する胃腸炎の形をとる。E.tardaによる敗血症例は極めて稀である。敗血症は糖尿病、悪性腫瘍、肝硬変、自己免疫性疾患などの免疫不全の基礎疾患がある場合が多く、グラム陰性桿菌に対して通常用いられる抗生剤の多くに感受性を示しているにもかかわらず、致死率は38-55%と高率である。自験例においても基礎疾患として胃癌を有しており、また各種抗生剤を駆使した治療を行ったが効果を得ることができなかった。自験例と同様に急速な経過で死亡する例も報告されており、compromised hostでは本菌の感染症も念頭におくべきと考えられた。 |
索引用語 | Edwardsiella tarda, 敗血症 |