セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y3-08:

近年当院で経験した小腸Gastrointestinal Stromal Tumor(GIST)の2例

演者 隅野  有香(西神戸医療センター 消化器内科)
共同演者 荒尾 真道(西神戸医療センター 消化器内科), 小林 英里(西神戸医療センター 消化器内科), 吉田 裕幸(西神戸医療センター 消化器内科), 荒木  理(西神戸医療センター 消化器内科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター 消化器内科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター 消化器内科), 津田 朋広(西神戸医療センター 消化器内科), 安達 神奈(西神戸医療センター 消化器内科), 島田 友香里(西神戸医療センター 消化器内科), 林 幹人(西神戸医療センター 消化器内科), 井谷 智尚(西神戸医療センター 消化器内科), 三村 純(西神戸医療センター 消化器内科), 橋本  公夫(西神戸医療センター 病理科)
抄録 GISTは全消化管腫瘍の0.2-0.5%程度と比較的稀な疾患である上に、特異的な臨床症状に乏しい疾患であり、発生部位は胃が最多(60-70%)で、小腸(20-30%)、大腸(5%)の順とされている。近年当院で小腸腫瘍に対して外科的切除され、病理診断にてGISTと診断された2例を報告する。症例1は76歳男性。2012年4月に黒色便を認め、上部消化管内視鏡検査(以下EGD)を施行するも明らかな出血源を認めなかった。同年11月に症状の再燃とHb 5.6 g/dLまでの低下を認め、施行したEGDでも明らかな出血源を指摘し得なかった。輸血後も貧血は改善せず、再施行したEGDで十二指腸水平脚奥の内視鏡が届かない部位にoozingを認めた。下部消化管用内視鏡を用いて再検すると、Treitz靭帯付近に出血を伴う巨大な潰瘍性病変を認め、アルゴンプラズマ凝固法による止血術を施行した。腹部造影CT検査ではTreitz靭帯付近にモザイク様に造影される直径6cm大の腫瘍を認め、腹部超音波検査では血流豊富な腫瘤として描出され、十二指腸或いは空腸のGISTの疑いで、当院外科にて開腹小腸部分切除術を施行された。腫瘍はTreitz靭帯近傍の空腸に発生し、術後病理結果はc-kit(+)、DOG-1(+)、CD34(+)、Vimentin(+)、αSMA(-)、S100p(-)、Ki-67標識細胞 19.4%で小腸GISTと診断された。症例2は82歳男性。2011年6月に膵嚢胞性腫瘍の経過観察目的の腹部造影CT検査で、空腸に直径3cm大の造影効果の乏しい限局性軟部陰影・腹腔内リンパ節腫大を指摘され、PET-CT検査では同部位にFDGの取り込みを認めたため、悪性リンパ腫を疑い、当院外科にて開腹小腸部分切除術を施行された。術後病理結果はc-kit(+)、CD34(+)、Vimentin(+)、αSMA(+)、S100p(-)、Ki-67標識細胞 1.9%で小腸GISTと診断された。いずれの症例も現在のところ再発は認めていない。小腸GISTは上下部消化管内視鏡検査では観察できず、診断に苦慮する場合が多い。今回、当院で経験した小腸GISTの2例に関し、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 GIST, 小腸