セッション情報 一般演題

タイトル 2:

消化管出血を契機に診断し得た食道表在癌胃壁内転移の1例

演者 上間 遼太郎(大阪警察病院 内科)
共同演者 景山 宏之(大阪警察病院 内科), 佐藤 克彦(大阪警察病院 内科), 姫野 愛子(大阪警察病院 内科), 妻野 恵理(大阪警察病院 内科), 占部 真貴子(大阪警察病院 内科), 堀江 真以(大阪警察病院 内科), 大嶋 太郎(大阪警察病院 内科), 宇田 創(大阪警察病院 内科), 村田 真衣子(大阪警察病院 内科), 山口 真二郎(大阪警察病院 内科), 宮竹 英希(大阪警察病院 内科), 水谷 昌代(大阪警察病院 内科), 岡田 章良(大阪警察病院 内科), 河相 直樹(大阪警察病院 内科), 尾下 正秀(大阪警察病院 内科), 辻本 正彦(大阪警察病院 病理診断科)
抄録 【症例】48歳、女性。嚥下困難、ふらつきおよび黒色便を主訴に当科受診。血液検査にてHb5.9g/dlと著明な貧血を認めたため、緊急上部消化管内視鏡検査を実施したところ、胃穹隆部に潰瘍を伴う巨大な粘膜下腫瘍様の隆起を認め、潰瘍の辺縁からの湧出性出血に対しアルゴンプラズマ凝固にて止血を行なった。入院後に再度施行した内視鏡検査にて、切歯25cmから食道胃接合部にかけて全周性の食道癌を疑う0-IIb+“0-Is”病変を認め、生検では食道・胃病変ともに扁平上皮癌であった。食道病変については、拡大NBIでは日本食道学会分類にてType B3、超音波内視鏡検査で5/9層までに及ぶ低エコー腫瘤を認め、深達度としてはcT1b(SM2/3)が疑われた。CT検査では胃病変は胃内外へ突出する6cm大の腫瘤として描出され、肝浸潤も疑われたが、明らかなリンパ節転移は認めず、食道癌の胃壁内転移と診断した。胸腔鏡・腹腔鏡下食道亜全摘、肝部分切除、胃管再建(胸骨後経路)および3領域郭清を行なったが、術中に胃病変の左横隔膜・左肺下葉への浸潤も認めたため、同部位の切除も行った。食道病変は一部で粘膜下層への浸潤(SM2)とリンパ管および静脈侵襲を認め、胃病変も扁平上皮癌がびまん性に増生する像を認め、術後診断はMtLt, pT1b(SM2), ly1, v1, pIM1-St, pN0, M0(StageIVb)であった。術後化学療法および再発に対し放射線治療を行い、術後14ヶ月経過した現在も生存中である。【考察】食道癌は食道内への壁内転移はしばしば見られるが、胃壁内に転移を来すことは極めて稀である。本症例は食道表在癌が胃壁内転移を来した極めて稀な症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食道癌, 胃壁内転移