セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y4-5:

浣腸および注腸造影により消化管穿孔・傍腸管気腫を来した2症例

演者 薗 誠(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院)
共同演者 原田 威徳(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 渡邉 幸太郎(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 橋本 佳愛子(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 西村 聡(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 木村 典世(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 牟田 優(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 廣橋 研志郎(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 渡辺 昌樹(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 加藤 洋子(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 工藤 寧(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 山内 敦嗣(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 河野 孝一朗(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 高 忠之(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 淺田 全範(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 福永 豊和(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 川口 清隆(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 八隅 秀二郎(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院)
抄録 【背景】浣腸処置や注腸検査施行時のまれな合併症として、挿入や圧負荷による消化管裂傷・穿孔が挙げられる。実際にそれら2症例を経験したので報告する。【症例1】92歳女性【現病歴】老人保健施設で浣腸処置後に持続性の血便を認めたため、当院へ救急搬送された。来院時38℃台の発熱があり、血液検査値ではWBC 9000 /μL、Hb 12.7g/dL、CRP 0.36 mg/dLであった。腹部CT検査では腹膜翻転部以下の直腸周囲組織にairあるも腹腔内遊離ガスや腹水認めず。緊急大腸内視鏡検査では活動性出血は認めなかったが、歯状線上, 2時方向に縦走する裂傷が見られた。浣腸に伴う肛門裂傷穿孔・傍直腸気腫と考え、絶食・補液・抗生剤投与にて保存的加療。CTフォローでも傍直腸気腫に拡大なく炎症所見改善。流動食開始後も経過良好であったため入院後8日目で退院となった。【症例2】82歳男性【現病歴】肝弯曲部の結腸癌の精査目的に入院。腫瘍による狭窄でスコープ通過困難であったため、評価目的にガストログラフィンで注腸造影検査施行。施行後より意識レベル増悪、血圧低下あり。注腸造影画像では直腸周囲に気腫像と一部造影剤の漏出様所見あり。腹部CT検査では肛門管から直腸にかけての粘膜の浮腫状肥厚と、直腸周囲脂肪織からSMA分岐部レベルまでの後腹膜内にairを認めた。腹膜翻転部以下の直腸穿通と考えられたが、前処置済みであること、緊急手術はリスクが高いことから絶食・補液・抗生剤投与にて保存的加療。フォローCTではairは消失傾向で、炎症所見も改善。流動食開始後も問題なく経過。結腸癌については待機的に人工肛門造設の方針となった。【考察】浣腸や注腸処置では、まれではあるが、直接の物理的刺激や圧の影響を特に受けやすい肛門や直腸の穿孔を来しやすいため注意が必要である。腹膜翻転部以下の消化管穿孔では、腹腔内へのleakageはないが後腹膜周囲組織や縦隔へと炎症・気腫が波及する可能性がある。しかしながら、局所的あるいは一時的な穿通に留まり、保存的加療が奏効する例も存在する。
索引用語 消化管穿孔, 傍腸管機種