セッション情報 シンポジウム2 「原因不明消化管出血の診断と治療の最前線」

タイトル S2-10:

原因不明消化管出血に対する治療方針の検討~血管性病変について~

演者 深田 憲将(関西医科大学 内科学第3講座)
共同演者 若松 隆宏(関西医科大学 内科学第3講座), 島谷 昌明(関西医科大学 内科学第3講座), 岡崎 和一(関西医科大学 内科学第3講座)
抄録 【目的】原因不明消化管出血(OGIB)に対するカプセル内視鏡(CE)、ダブルバルーン内視鏡(DBE)の有用性は明らかであるが、血管性病変はDBEで観察時に止血しており、出血源を同定することが困難な場合や、再発例もあり治療に難渋する例も多い。今回OGIBで認めた血管性病変の治療方針について検討を行った。【方法】2006年1月から2013年3月までにDBEにより判明した、血管性病変34例47件、及びCEで認めた血管性病変が疑われた72例80件で検討を行った。【結果】DBEで血管性病変を認めた47件の内訳は平均年齢64.7±11.3歳、男性20件女性27件であった。抗凝固薬服用4例、抗血小板薬内服4例、透析6例で透析例のうち2例で抗血小板薬が使用されていた。当院では2008年12月にCEを導入したが、CE導入前(前期群)にDBEで血管性病変と診断されたのは14例25件、CE導入後(後期群)は20例22件であった。後期群では全例DBE前にCEが行われていた。前期群で止血処置が行われたのは12件、後期群で止血処置が行われたのは20件であった(p=0.046)。前期群の2例12件に再出血を認めそれぞれ10回、2回のDBEを行い止血処置の追加を行った。いずれの症例も大動脈弁置換術後で抗凝固薬が使用されており、1例は多発する血管拡張、1例は止血部からの再出血であった。後期群の5例6件に再出血を認め5件にCEを再度施行し、1例はCEで出血所見なし、1例はCE15日後に原疾患により死亡、3例でDBEが施行され、それぞれ再出血源不明、門脈圧亢進症性腸症、出血性血管拡張であった。CEで血管性病変を認めた80件のうち、出血あり28.5%(23/80)、出血なし71.5%(57/80)であった。出血例の26.1%(6/23)、出血なしの9.3%(5/54)で再出血を認め、CEで出血を認めた場合再出血率が高い傾向であった(p=0.055)。【結語】CE導入後血管性病変に対する止血率の向上が見られた。また、再出血例に対してもCEは再DBE施行の判断に有用であった。CEで出血を認めない場合には再出血をきたす可能性が低く、患者負担を軽減させ効率的な対応が可能となる可能性が示唆された。
索引用語 小腸, ダブルバルーン内視鏡