セッション情報 一般演題

タイトル 10:

早期に診断予測し治療を開始した好酸球性胃腸炎の1例

演者 吉岡 靖索(服部記念病院)
共同演者 相澤 茂幸(服部記念病院), 佐藤 芳樹(服部記念病院), 加藤 佐紀(服部記念病院), 横井 祐子(服部記念病院), 大浦 元(服部記念病院), 小島 邦行(服部記念病院), 餅 忠雄(服部記念病院), 山本 浩治(服部記念病院)
抄録 (はじめに)好酸球性胃腸炎Eosinophilic Gastroenteritis(EGE)は、好酸球浸潤が消化管に特異的に生じ、腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状を特徴とする疾患である。今回我々は、過去に経験した2症例と対比することで、早期に診断を予測し得たEGEの1例を経験したので報告する。(症例)15歳の受験を控えた男子中学生。3週間前からの食後腹痛・嘔吐や下痢を認め、前医で治療を受けるが無効で紹介となる。血液検査ではCRP陰性であったが、著明な白血球および好酸球の増多(WBC19090/μl、好酸球56.9%)を認めた。上部消化管内視鏡検査では十二指腸球部の粘膜は発赤浮腫状変化が著しく、腹部CTでは腸管浮腫は明らかでないが膀胱直腸窩に少量の腹水を認めた。当院で過去に経験した2症例との共通点(末梢血好酸球増多、前医の治療無効、CRP陰性、少量腹水)を認めることからEGEを強く疑った。10日後に受験を控えていたため、生検結果を待たずに治療的診断を兼ねて初診日より治療(プレドニゾロン20mg/日)を開始した。結果、翌日には著明に消化器症状は改善し、高校受験が可能になった。後日に判明した病理学的検査では、十二指腸粘膜に多数の好酸球浸潤(68/HPF)を認め確定診断した。(考察)本例は過去に経験した症例との共通点を参考に診断を予測した。EGEの症状や検査所見は非特異的であり、診断は病理学的検査によるものである。消化器症状の診療においては、臨床的な特徴点からこの疾患をまず念頭に置くことが重要である。
索引用語 好酸球性胃腸炎」, ステロイド治療