セッション情報 |
Young Investigator Session(卒後3-5年迄)
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タイトル |
Y3-10:クローン病の長期経過例に肛門管癌および皮膚転移を来した一例
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演者 |
阿部 菜海(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学) |
共同演者 |
宮嵜 孝子(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 萩原 良恵(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 森本 謙一(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 野口 篤志(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 鎌田 紀子(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 杉森 聖司(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 永見 康明(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 十河 光栄(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 斯波 将次(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学), 前田 清(大阪市立大学大学院 医学研究科 消化器外科学), 平川 弘聖(大阪市立大学大学院 医学研究科 消化器外科学), 荒川 哲男(大阪市立大学 大学院 医学研究科 消化器内科学) |
抄録 |
【症例】50歳女性【主訴】肛門狭窄【既往歴】41歳時真菌性眼内炎【現病歴】18歳時に小腸大腸型クローン病を発症。ステロイドで加療されたが、改善乏しく投与中止となった。25歳時に回盲部部分切除術施行。その後、肛門病変の再燃緩解を繰り返し、38歳時に難治性痔瘻・直腸膣瘻に対してseton手術が行われたが改善せず、40歳時にイレウスに対して左半結腸切除術施行。44歳時より、infliximabの投与を開始し、以後肛門管および吻合部狭窄に対して内視鏡的バルーン拡張術を繰り返した。49歳頃より外陰部から会陰部にかけて紅斑の増悪と疣贅が出現した。今回、バルーン拡張目的に入院となった。【経過】肛門狭窄に対し内視鏡的バルーン拡張術を施行、肛門管の生検では癌を認めなかったが、外陰部の皮膚生検より腺癌を認めたため、肛門管癌および皮膚浸潤と診断し腹会陰式直腸切断術・側方郭清、子宮膣合併切除、回腸人工肛門造設術を施行した。病理組織学的には腺癌(tub2>tub1),pA1(膣),ly1,v0,pN0,pPM0,pDM0,pRMX,H-,P0,M0,fStage2であった。1ヶ月後、外陰部に疣贅様小結節が出現し生検施行、腺癌を認めたため肛門管癌皮膚転移と診断し、外科的切除を施行した。【考察】クローン病の肛門管癌合併例は罹病期間が長い例に多く、早期診断が困難で予後は不良である。早期診断が困難となる背景には、臨床所見および画像診断で炎症所見が前面に出て、腫瘍の所見が不明瞭になってしまうこと、肛門病変のコントロールが不良の場合、疼痛が強いため生検が困難であること、高度の肛門狭窄のため生検部位が不適切となり、診断が不正確となり得ることなどが考えられる。本症例も、頻回に内視鏡下に生検を施行していたが診断できず、皮膚転移を来し、進行癌で発見されている。現状では直腸肛門管の狭窄症状の進行、下血、痔瘻からの粘液排出増加などの臨床症状の変化に留意し、癌合併を念頭に置いて積極的な細胞診、組織診を行うことが必要である。 |
索引用語 |
クローン病, 肛門管癌 |