セッション情報 一般演題

タイトル 42:

膵頭部癌との鑑別に難渋したIgG4関連腫瘤形成性膵炎の1切除例

演者 鯉田 五月(八尾徳洲会総合病院 肝臓センター )
共同演者 木村 拓也(八尾徳洲会総合病院 肝臓センター ), 平川 富夫(八尾徳洲会総合病院 内科), 松田 康雄(八尾徳洲会総合病院 肝臓センター )
抄録 【症例】77歳、男性【主訴】黄疸【現病歴】平成24年夏より倦怠感があった、H25年1月に眼球に黄染を認めたため近医受診、T-Bil 12.4mg/dlと高値であり入院。腹部超音波検査や造影CT検査にて膵頭部癌と診断され、手術加療目的にて当院紹介入院となった。【入院後経過】血液検査ではCA19-9 59.8U/ml、Span1 50.3U/ml、Dupan2 174U/ml、造影CT検査では膵頭部に2.8cm大の造形効果の乏しい腫瘤を認め、周囲リンパ節腫脹、門脈への浸潤を疑う所見を認めた。MRCPでは膵頭部の腫瘤はT1、T2強調像で共に低信号を呈し、総胆管、主膵管の狭窄を認めた。ソナゾイド造影超音波検査で膵頭部に2.1cm大の境界不明瞭な乏血性の腫瘤を認めた。ERCPにてVater乳頭の硬結、膵頭部より末梢で膵管の拡張を認め、超音波内視鏡検査では膵頭部に2.8cm大の境界明瞭な低エコー領域を有する腫瘤を認め、下部胆管は先細りに閉塞していた。胆汁細胞診では2回陰性であった。腹部血管造影検査:DSAでは明らかな腫瘍濃染は認めず、CTAでも同様であった。画像検査所見を総合的に判定した結果、膵頭部癌(T4,N1,M0)StageIV Aと診断し、膵頭十二指腸切除術+門脈合併切除を施行した。切除標本では膵頭部に小リンパ球を主体に形質細胞を含む小円形細胞の浸潤が著明で、線維化が高度であった。悪性像はみられなかった。術後の採血でIgG4 141mg/dlと高値であり、IgG4関連腫瘤形成性膵炎と診断した。【考察】今回我々は膵頭部癌を否定できなかったIgG4関連腫瘤形成性膵炎の症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 IgG4関連腫瘤形成性膵炎, 膵癌